http://sankei.jp.msn.com/world/news/140428/chn14042816030002-n1.htm
【軍事情勢】
“大戦前の亡霊”に導かれる中国「要塞艦隊」
米の挑発に乗ってASBM実験
2014.4.28 16:03 産経新聞
中国山東省青島の港に停泊する中国海軍の
ミサイル駆逐艦「ハルビン」。
外洋海軍への脱皮を目指す中国海軍は、
ミサイルをはじめ軍備の最先端化を急いでいる
20日
(ロイター)
中国軍は日本や東南アジアの国々に「挑発」を繰り
返すが、極希に「挑発される」。
対艦弾道ミサイル(ASBM)の「発射実験」の写真
を公開した1月12日は、その類いだったかもしれない。
発射の信憑性や詳細は不明だが、公開した日付が興味
深い。
米誌ザ・ナショナル・インタレストに正月早々掲載さ
れた、米海軍大学のアンドリュー・エリクソン准教授の
論文《近海における中国の挑戦》に触発されたとしか思
えないのだ。
(SANKEI EXPRESS)
■ASBMの「発射実験」公開
エリクソン氏によると中国軍のASBM・東風21D
(DF-21D)は
《初期の実戦が可能で少数が既配備》。
尖閣諸島(沖縄県石垣市)や台湾、朝鮮半島での有事
を想定し、米空母打撃群を自国や作戦海空域に寄せ付け
ぬよう《抑止力強化を狙い》性能を限定的に見せ始めた。
その一方で
《初期生産と配備、実戦レベルに十分達したかを誇示す
るには、精緻なプログラムに基づく洋上への飛翔など
各種実験をしなければならないが、失敗を恐れ未だに
実施していない》と“注文”を付けていた。
東風21Dは射程1500キロ以上(2000キロ説
アリ)、開発が完全に成功すればマッハ10超で敵艦を
襲う。
ただ、米議会調査局は2013年3月の報告書で、
防御可能で、戦略変更を迫る域に到達してはいないと断
じる。
例えば
(1)中国軍の索敵→固定→追跡など初期段階で電波
妨害を仕掛け、作戦自体を挫く
(2)既存・新型の各種迎撃ミサイルやレーザー兵器
を各高度・海域で重層的に組み合わせ撃ち落とす
(3)東風21Dに直接電子妨害を掛ける-などは有効
な戦法とする。
しかし、弱者は強者に勝つべく、戦史を学習し、持て
る資源で最善の戦法を編み出す。
米海軍のアルフレッド・セイヤー・マハン少将
(1840~1914年)の亡霊も没後1世紀を経て尚、
中国軍を励まし、教え続ける。
中国海軍は《外洋海軍》を目指している。
基地の支援無しに、遠方の洋上で長期にわたり作戦
行動できる海軍で、米海軍をもって代表格とする。
これに比し沿岸・河港作戦に限られる中小型艦艇中心
なのが《内水海軍》、外洋と内水の間に位置する海軍を
《沿岸海軍》と呼ぶ。
沿岸海軍は自国周辺を主な作戦海域としつつ、遠洋
でも一定任務を達成し得る。
現下の中国海軍はここに分類される。
■準外洋海軍でも脅威
日米の専門家は中国がいつ、完璧な外洋海軍へと
昇華を遂げるかを注視する。
だが東風21Dの性能が飛躍的に向上すれば、当分は
「外洋海軍に近い沿岸海軍」のままでも、自衛隊や米軍
にとっては脅威となろう。
なぜか-。
米海軍大学のジェームス・ホルムズ教授ら多くの専門
家が看破する、中国海軍の弱点の一つ《要塞艦隊思考》
を起点に考えてみる。
マハンによれば、艦隊運用は守勢的な要塞艦隊と攻勢
的な《牽制=プレゼンス艦隊》の間で《調整=位置付け
》した結果実施される。
要塞艦隊とは何か。海防の要諦は海岸要塞が全てだと
限定する学派にとり、艦隊は要塞防御・支援する以外に
存在意義を持たない付属物。
即ち、要塞艦隊は艦砲射撃で陸上戦闘を支援する他、
逆に要塞火力の援護を受けながら作戦を遂行し、敵艦隊
の要塞接近を阻む-を主目的とする。
片や牽制艦隊とは軍港・要塞は補給・修理・将兵の
休養に向けた一時的施設に過ぎず、攻撃力が大きく機動
力に富む艦隊こそ敵に恐怖を与え、敵の行動を
《抑止・制限》する。
この力をもって制海権を確保すれば海防も担える-と
の理論。
マハンの軸足は牽制艦隊に在る。
実際、日露戦争(1904~05年)中、大日本帝國
海軍艦隊との交戦を避け、艦隊を旅順要塞の海岸
(要塞)砲射程内=旅順港内に留め、艦艇温存を図った
ロシア軍の戦略を、マハンは《根本的誤り》と否定する。
ホルムズ教授も、中国艦隊が力を付けるには守勢的な
「要塞艦隊的思考」を払拭し、攻勢的な牽制艦隊へと
《海軍文化を根本的に改める》ことが大前提と、弱点を
指摘している。
もっとも、以上はあくまで原則。
マハンは、要塞/牽制2種類の艦隊の性格・役割を
どちらかに一本化させるわけではないと強調。
要塞と艦隊の実力の上下=力関係により、いずれが
主役かを決める性格上の綱引き=《調整》を行い、
その結果を艦隊の性格・役割の濃淡に反映させるのだ、
と論ずる。
■非対称戦力で時間稼ぎ
中国艦隊の性格・役割の濃淡を決める《調整》要素
として、現代海軍戦略に突如浮上したのがASBMで
あった-小欄はそう考える。
ASBMなる“要塞砲”の援護を受ければ
「牽制艦隊に近い要塞艦隊」=「外洋海軍に近い沿岸
海軍」のままでも相当な《抑止・制限》効果を生む。
日露戦争当時、露旅順要塞を攻撃した日本側攻城砲
(要塞砲を転用)の最大射程はわずか7.65キロだ
ったが、ASBMの射程は1000キロ単位のオーダ
ー。
中国勢力圏は広大で、発射源の位置(陸上とは限ら
ない)により日本列島はじめ、中国の対米軍絶対防衛
線・第1列島線(九州~沖縄~台湾~フィリピン~
ボルネオ)と将来的防衛線・第2列島線(伊豆/小笠
原諸島~グアム・サイパン~パプアニューギニア)
付近に撃ち込める。
エリクソン准教授は東風21Dの、軍事衛星を含む
《C4ISR=指揮・統制・通信・コンピューター
・情報・監視・偵察能力は、既に空母攻撃を支援する
に十分なレベル》と観る。
射程に加え、精度を確立したASBMが中国勢力
圏内の発射源=陸海上要塞に配備され、対艦ミサイル
を装備する爆撃機・潜水艦や電子戦機などが連携・
支援、縦深性を厚くすれば、沿岸海軍といえども
牽制艦隊=外洋海軍に近い実力を一部担保。
冒頭述べた東アジア有事で、来援が期待される米
空母打撃群を《抑止・制限》する、中国軍の
《接近阻止/領域拒否(A2/AD)戦略》を具現化
する戦力と化す可能性は否定できない。
“要塞艦隊”への本格的評価を、中国海軍が軍事史
上初めて受ける事態が生起するのか、徹底的監視
・分析が不可欠だ。
正規軍に対抗するゲリラ部隊、強力な兵器に応戦す
るイレギュラー戦法を「非対称」戦力という。
中国軍は、ASBM+“要塞艦隊”+αから成る米
空母打撃群に対する非対称戦力で時間稼ぎしながら、
着実に「対称」戦力を増強していく。
(政治部専門委員 野口裕之)
首相官邸前で、デモを行ってる映像を見た時、非常
に、残念に思いました。
日本の周辺は、非常に危険な状況が、出現して来て
るのに、丸で、危機感を持ってない事に驚きます。
起きてから話し有っていては、間に合わないのに、
まあ、悠長な事です。
喜ぶのは、敵対する国だけでしょう。
中国のミサイル艦船のレーダー照射事件や、アメリカ
の艦船に向けて、突っ込んで来た事件やP3Cに中国の
戦闘機が異常接近した事件と危険な事が、どんどん
増えてるんですよ。
アメリカとの協力関係を深める事は、抑止力になります
。
国民が、不快に思う様な事柄は、TOPダウンで決めなき
ゃ、いくら話し合った所で、平行線のままで、決まる事
は、有りません。
安倍さんが、政治家として、決めた事に、私自身は、
賛成です。
ともあれ、日本の周辺、いや、アジアの平穏を脅かす、
人民解放軍の動きに対応する為にも、自衛隊が動き
易くする事は、必要です。
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とっても古い記事ですが“大戦前の亡霊”に導かれる中国「要塞艦隊」 米の挑発に乗ってASBM実験。
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