http://sankei.jp.msn.com/world/news/140605/chn14060521510013-n1.htm
【親日・台湾はいま】
「怖いのは中国の以経促統」 若者は文化通じ、日本に親近感 (交換留学生・許氏インタビュー)
2014.6.5 21:51 産経新聞
日本との経済関係を深めたいと語る留学生
の許彩誠氏
福岡市中央区
台湾に住む2300万人の中でも、特に30歳
以下の若い世代は「親日」の傾向が強い。
幼い頃からアニメや音楽などの文化を通じて、
日本に親しんでいるからだ。
馬英九総統が進める中国との「サービス貿易
協定」に反対し、3週間にわたって立法院(国会
に相当)を占拠したのも、こうした若い世代だった。
交換留学生として九州大で学ぶ台湾大の許彩誠氏
(23)=福岡市在住=は、台湾に一時帰郷し、
運動に参加した。
親日家であり知日家でもある許氏は
「中国は経済交流を通じて台湾を絡め取ろうとして
いる。台湾にとって、日本との経済関係強化が重要
だ」と指摘した。
(大森貴弘)
馬英九総統の中国への傾倒が目立つ中で、日本の
人々や政府には、台湾とのさらなる交流拡大を望ん
でいます。
私は高校時代に日本のアニメ「攻殻機動隊」を見
て、ストーリーの奥深さにひかれ、日本に関心を持
ちました。
そして台湾大学の日本語文学科に進学したのです。
私だけでなく、学生の間で日本への関心はとても
高い。
テレビでは毎日のように、日本のアニメやドラマ、
Jポップと呼ばれる音楽を放送していますから、
興味を持つのが当たり前ともいえますが…。
台湾の若者にとって、日本文化は生活の一部と言
えるかもしれません。
でも、文化だけでは不十分です。
もっと経済的な関係も深めてほしい。
台湾はWTO(世界貿易機関)に加盟しています
から、この枠組みで、日台間に自由貿易協定
(FTA)のような、何らかの協定を結んでもらい
たいです。
なぜ、私たち台湾人がこのように考えるのか-。
背景には、中国が進める「以経促統」という政策
があります。
「経済を以て統一を促す」という意味です。
経済交流を拡大し、台湾の中国市場依存度を高め、
台湾を絡め取る戦略といってもよいでしょう。
中国は過去、軍事・政治の面から台湾に干渉しよ
うとして、失敗しました。
だから経済と文化を手始めに、台湾を侵食しよう
としているのです。
ところが馬総統は2008年の就任以来、
「中国から世界へ」というスローガンを唱えていま
す。
中国との問題を解決し、その後に世界に打って
でる-という考えです。
でも、これは明らかに間違っています。
だって、中国が台湾の取り組みを妨害しないなん
て信じられますか?
中国を特別視せず、まずは世界の他の国と健全な
経済協定を結ぶ方が安全です。
中国との問題はその後解決する。
むしろ「世界から中国へ」という方が現実的だと
思います。
× × ×
2012年に中国で反日デモが多発した後、日本
企業の投資は中国を避け、台湾や東南アジアに向か
いました。
この動きは拡大する可能性があります。
中国の船は南シナ海でベトナム船への体当たりを
繰り返し、こうした横暴は世界に認知されました。
4日に始まった先進7カ国(G7)首脳会議(サ
ミット)でも、こうした動きを牽制(けんせい)
する宣言が出たのです。
今後、経済連携の相手として、世界の目が、中国
ではなく台湾へと注がれるかもしれません。
日本にはぜひ、その先駆けになってもらいたいで
すね。
× × ×
ところが、当の台湾は中国への傾倒を突き進んで
います。
馬総統にとって大事なのは域内総生産の数字と大
企業がもうかるかどうかだけ…。
中国とのサービス貿易協定を重視するのは、これ
までの制限を外して、企業が中国に進出しやすくし
たいからです。
でも、本当に私たちの生活は良くなるのでしょう
か。
今、大学新卒者の給料は伸び悩んでおり、若者は
親の支援がなければ家も買えないありさまです。
今回の学生運動は中国への不安と、馬政権への
不信が背景にあります。
勘違いしてほしくないのですが、私たちが反対す
るのは国際貿易の拡大ではありません。
問題は、相手が中国であることなのです。
台湾に領土的な野心を持つ中国相手の協定だから
こそ、特別慎重になるのが普通ですよね。
しかし、馬総統は過程を公開せずに門戸開放を決
めようとしています。
台湾はすでにシンガポールやニュージーランドと
FTAを結びました。
こうした国との協定はまったく問題ありません。
手続きも法律で定められています。
でも、中国との協定は、馬総統の、そして中国の
やりたい放題になる危険性があります。
私たちは、中国と結ぶ協定をしっかり監視できる
よう条例の改善を求めていきます。
× × ×
今回の学生運動は、「台湾人」としての自覚の表
れだと思います。
馬総統が就任してから、学校で使う教科書の作り
が一気に変わりました。
台湾の歴史教科書なのに、中国から見た視点に
なっています。
今後も「日本統治時代」が「日本植民統治時代」
となるようです。
でも、われわれ若い世代には、教科書が変わった
ことでかえって、
「台湾で何が起きたかを自ら学ぼう」という姿勢が
芽生えています。
そして、最初は学生中心に始まった今回の運動も、
中高年層も含めて「台湾人の土地を守ろう!」と
いう意識の下、一つになっています。
もはや学生の「ままごと」ではなくなっているん
です。
親日国台湾とは、関係を深め、大切にして行きたい
ものです。
東日本大震災の時には、多大な義援金を送ってくれ
た国です。
しかも、自然発生的に始まった運動だったと聞きま
す。
そうした行動を起こしてくれる国は、貴重です。
より関係を深めて行きたいものですね。
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「怖いのは中国の以経促統」 若者は文化通じ、日本に親近感。
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