http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/140606/waf14060607000002-n1.htm
【大阪から世界を読む】
ブラジル政府機関「レイプ」調査結果に猛反発したブラジル人女性たちの「抗議活動」…サンバの国を取り巻く“開放”と“保守”のせめぎ合い
2014.6.6 07:00 産経新聞
「私はレイプされて当然ではない」との抗議活動を
展開したブラジル人ジャーナリストのナナ・キーロス
さんの活動に賛同し、自らもトップレスで抗議を示す
女性
(You Tubeより)
6月7日にサッカーワールドカップ(W杯)が開幕
するブラジルで、「危うさ」が日に日に増している。
試合が行われるスタジアムは突貫工事が明らかになり、
いまだに開催反対のデモが頻発。
凶悪犯罪は急増中で治安に不安が残る。
さらに、政府機関の世論調査が
「露出が多い女性はレイプされて当然」との調査結果を
公表し、女性の怒りを買い、抗議活動に発展した…。
開放的なイメージの強いブラジルだが、カトリック教
徒が多く、保守的な思想が浸透。抗議活動はそうした
国情を浮き彫りにさせた。
■2万人が賛同「レイプされて当然ではない」
米アイビー・タイムズ(電子版)などによると、調査
を行ったのは、ブラジル政府の応用経済研究所。
2013年5~6月の間に実施し、今年3月末に調査
結果を公表した。
それによると、3810人の約65%が、肌を露出し
た服を着た女性に対するレイプは当然だと答えた。
また58・5%が、もし女性が振る舞い方を知って
いれば、レイプ被害は減少するということに賛意を示し
た。
当然、この結果にブラジル人女性が猛反発した。
「私はレイプされて当然ではない」
ジャーナリストのナナ・キーロスさん(28)がフェ
イスブック上で、胸部を手で押さえた上半身裸の姿で、
そうと訴え、同様の抗議を呼びかけた。
キーロスさんは「レイプするぞ」との脅迫を何度か受
けたというが、約2万人が賛同。
トップレス状態の女性が同様の写真を公開する抗議
活動に発展した。
調査結果について、サンパウロ大学の研究者は
「この結果は驚くような内容ではない。なぜならブラジ
ル社会はいまだに虐待の責任は被害者側にあるとして、
被害者を非難しているからだ」と指摘した。
■長い道のりの途上にあるブラジル
応用経済研究所は公表後の“反響”に慌てたのか、
BBCによると、数字を訂正した。
肌を露出した服を着た女性に対するレイプは当然だと
回答した人は65%ではなく、26%だとしたのだ。
どういう計算違いかは分からないが、キーロスさんは
BBCに対し
「(応用経済研究所の調査は)信用しない」と断じた。
ブラジルは、露出度の高い衣装と官能的なダンサーが
集うリオのカーニバルで知られ、開放的なイメージが強
いが、1億2千万人以上のカトリック教徒がいて、保守
的な思想が浸透した社会でもある。
例えば、現在、妊娠8週以内のレイプ被害者と命に
危険のある母親のみに中絶が認められているが、カトリ
ック教会側は反発している。
社会における論争のひとつにもなっている。
今回の調査は、そうした2つの考え方の違いを浮き彫
りにさせたともいえ、女性大統領のジルマ・ルセフ氏は
短文投稿サイト「ツイッター」にこうつづった。
「ブラジル社会はまだ長い道のりの途上にある。家庭内、
家庭外での女性に対する暴力について、政府、社会が
ともに取り組まなければならないということだ」
■「携帯電話を使ってはならない」
W杯の開幕まであと残りわずか。
しかしいまなお、開催反対を訴えるデモが頻発し、
伸び悩む経済と所得格差の拡大などで、強盗や殺人など
の凶悪犯罪は増加傾向にある。
しかもスタジアムの突貫工事は明らかで、“何か”が
起こらないとは限らない予感を漂わせている。
デモは教員や警察官など公務員の待遇改善などを求め
るものもあり、W杯開催期間中に安全が保たれるには
不安だ。
W杯への海外からの観戦客は約60万人と見込まれ、
関西を含め日本から渡航する人も多いとみられている。
しかし例えば、カメラや携帯電話などを持っていた
だけで被害に遭うケースもあるといい、英紙デーリー
・メール(電子版)はこう伝えている。
「(ブラジルでは)公共の場所で携帯電話を使っては
いけない」
「強盗に遭ったら言い争ってはいけない」
ブラジルに日本代表の応援で、渡られる女性の皆さん。
自らの身は、自ら守って下さいね。危険地帯と知って、
乗りこむのですから。
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ブラジル政府機関「レイプ」調査結果に猛反発したブラジル人女性たちの「抗議活動」…
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