http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130504/crm13050412000003-n1.htm
【疑惑の濁流】
宇宙飛行士に歌舞伎俳優…
またも著名人が広告塔に
「インタビュー記事」として情報誌に
2013.5.4 12:00 産経新聞
MRIインターナショナルが発行する情報誌
「VIMO」(右)と、著名人側に送った巻頭
インタビューの取材依頼。
取材依頼では「宣伝ではない」という点を
強調している
(松本健吾撮影、画像の一部を加工しています)
詐欺事件やマルチ商法などが世を騒がすたび
に問題化するのが、有名人を広告塔として起用
し、出資者らの信用を得る手法だ。
金融商品取引法違反(誇大広告)容疑で証券
取引等監視委員会の強制調査を受けた資産運用
会社
「MRIインターナショナル」
も、顧客向け情報誌に芸能人や文化人らを登場
させていた。
依頼の際には「商品の宣伝ではない」と強調
していたMRI側。
なぜ今回も著名人は“利用”されてしまった
のか。そこには「取材名目での依頼」という巧
みなカラクリがあった。
■「読者の知的好奇心を満たすため」
MRIは顧客向け情報誌「VIMO」
(ヴィーモ)を季刊で発行。
昨年3月号からは巻頭に著名人のインタビュ
ーを始めた。
第1回では、宇宙飛行士の毛利衛さん(65)
を紹介。
その後も雅楽家の東儀秀樹さん(53)
▽登山家の野口健さん(39)
▽女優の草刈民代さん(47)
▽歌舞伎役者の市川染五郎さん(40)
-を起用し、表紙にも登場させた。
東儀さんの所属事務所の担当者は
「MRIの説明では『商品の宣伝をしてもらう
のではなく、著名人の活躍を記事にして読者の
知的好奇心を満たす』という依頼だった」
と明かす。
報酬は十数万円で、ヘアメークやスタイリス
ト代など手数料を引くと、東儀さん本人が手に
したお金は数万円程度だったという。
テレビや雑誌などでの広告出演に比べれば
破格の安さだが、その秘密は
「取材としての依頼」にあった。
東儀さんの担当者は
「宣伝の場合、タレントは依頼主のライバルの
企画に登場できないなどの縛りがかかり、いわ
ば依頼主と一蓮托生(いちれんたくしょう)に
なる。その代わりに、数百万~数千万円の報酬
を受け取る。しかし取材の場合は、プロモーシ
ョンになるなどのメリットがあり、受け取る
報酬は当然安くなる」と明かす。
■依頼主の素性「調べきれず」
取材をうたうことにより、著名人側の警戒心
が薄くなるという利点もある。
東儀さんの担当者は
「宣伝の場合は、依頼主や商品を調べ、所属
タレントのイメージに傷が付かないようにする
。しかし取材であれば、依頼主の素性までは深
く詮索しない」とする。
MRIについては
「問題のある会社とは知らなかった。しかし
よく調べなかったことで、結果的に落とし穴に
はめられ、顧客の方々に迷惑をかけてしまった。
申し訳なく、悔しい」と唇をかんだ。
ほかの著名人も同様の事情でインタビューを
受けたようだ。
野口さんの所属事務所は
「取材や講演の依頼は毎日、山のように来る。
依頼主について一つ一つを調べるのは不可能に
近い」と説明。
草刈さんの所属事務所も
「プロモーションを兼ねた取材としか認識して
おらず、不正疑惑を知ってびっくりした。今後
はチェックを厳重にしていきたい」
と困惑する。
毛利さんが館長を務める日本科学未来館
(東京都江東区)は
「科学館を通して受けた依頼ではない上、毛利
が海外出張中で起用された経緯は分からない」
と話した。
■投資への呼びかけなし…「新しい手法」
こうした経緯で「VIMO」に掲載された
インタビュー記事の中で、投資を呼びかける
言葉はない。
本人が人生観や、これまでの業績などを語る
形式となっている。
《何でも本当かな?と自分の目で確かめること
が大切です》
毛利さんのインタビューでも金融商品には触
れていない。
《投資でもそうだと思いますが、人が言った
からとか、噂で判断するのは危険です》
などと、一般論として毛利さんが語った部分が
あるだけだ。
「宣伝の受け手側は一般的に、著名人が宣伝に
出ていれば、それだけでしっかりした会社で
あると錯覚しやすい傾向がある」
とするのは、著名人を利用した宣伝に詳しい
駒沢大学グローバル・メディア・スタディーズ
学部の山口浩教授(メディアビジネス論)だ。
MRIはそうした顧客側の心理を利用した
可能性があるという。
「取材名目で情報誌に登場させることにより、
著名人本人も気づかないうちに広告塔にさせる
という点で珍しいといえるのではないか」
実際、MRIに出資者していた男性(65)
は産経新聞の取材に
「立派な人が情報誌に出ていたので、そうした
人を起用できるMRIを信用する気持ちが強ま
った」と明かした。
■円天、ペニオク…続く有名人「起用」
著名人の信用が悪用される事例は、近年でも
枚挙にいとまがない。
平成19年に発覚した疑似通貨「円天」を
売り物に巨額資金を集めた健康寝具販売会社
「エル・アンド・ジー」(L&G)の詐欺事件
では、細川たかしさん(62)らを招いたコン
サートを開催。
出資者らが「被害を拡大させた」として、
細川さんに損害賠償を求める訴えを起こす事態
に発展した(後に請求棄却)。
昨年には、人気商品を格安で落札できると
うたった「ペニーオークション」運営者らに
よる詐欺事件をめぐり、運営者側からの依頼で、
複数の人気タレントが虚偽の落札結果をブログ
などで報告していた問題が発覚している。
このほか、
電気通信事業者「平成電電」や「近未来通信」
による詐欺事件でも著名人が利用されていた。
■安易な信用は危険…見抜く力を
こうした事件が発覚した場合、広告塔役を務
めた著名人自身もイメージに傷が付く。
細川さんは問題発覚後、紅白歌合戦の出場を
辞退している。
山口教授は
「著名人側にとっては、依頼主の問題が公に
なっていない段階で、依頼主が不正企業なのか
どうかを見極めるのは難しいだろう」
と著名人を擁護する。
その上で受け手側の心構えとして、
「被害を最小限にするためには、著名人側だけ
でなく、リテラシー(情報の真偽などを見極め
る力)を高める必要がある」と指摘。
「著名人が出ているというだけで信用しない
など、自ら身を守る努力をするしかないのでは
ないか」と呼びかけている。
記事に有る通り、過去の大規模経済事件特に
詐欺事件では、必ずと言ってよいほど、
有名人を広告塔に起用し、相手を信用させる
手が、使われてます。
有名人の中には、タレントばかりで無く、
国会議員も登場した例も有ります。
記事の最後の言葉では、有りませんが、
「真偽を見分ける力」を養う事は、大切ですね。
被害に遭わない為にも。
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