http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120728/crm12072818000009-n1.htm
【衝撃事件の核心】
16万円の「高額バイト」 少年たちが振り込め詐欺の「受け子」となるまで
2012.7.28 18:00 産経新聞
東京都内で開かれた振り込め詐欺の
撲滅を目指すイベント。
タレントの安めぐみさんも参加し、
被害防止を訴えた
振り込め詐欺グループの
「受け子」は少年だった-。
今月2日、東京都大田区の
無職女性(73)宅を訪れて
現金200万円を受け取ろう
としたとして、川崎市に住む
無職少年(19)と横浜市に
住む男子高校生(19)が
詐欺未遂の現行犯で警視庁
大森署に逮捕された。
振り込め詐欺で、被害者から
現金を受け取る役の「受け子」。
最近はバイト感覚で引き受け
る若者が後を絶たないという。
捜査関係者らへの取材から、
2人の19歳が事件に関わる
ようになった経緯を追った。
(原川真太郎)
■「いいバイトがある」
きっかけは先輩の誘い
「お前、暇してるんならいい
バイトがあるんだけど。やって
みない?」
今年6月ごろ。
川崎市の無職少年は、仲良く
していた地元の先輩から、
こんな誘いを受けたという。
先輩が説明した「バイト」は、
指定された場所に出向いて書類
を受け取るという内容だった。
報酬は悪くなかった。
少年は仲の良かった男子高校
生を誘って、2人で「バイト」
をすることにした。
少年らは、先輩から1台の
携帯電話を手渡された。
「この電話に連絡があるから…」
。
7月2日、先輩の言う通り、
この携帯に1人の男から電話が
あった。「バイト」についての
指示だった。
東京都大田区の住宅地の民家
を、ワイシャツにスラックスと
いうサラリーマン風の服装で訪
れ、
「営業回りをしているタカハシ
です」
と告げ、家の人間から書類を受
け取ってくるように-。
振り込め詐欺の受け子役の
指示だった。
■詐欺グループの電話
待ち構えていた捜査員たち
詐欺グループは、少年らに
電話で指示を出す前に、大田区
の無職女性方に、長男を装って
電話をかけていた。
「もしもし、お母さん? 実は、
電車に会社の小切手の入った
大事なかばんを忘れてしまって
…」
「会社の部長に500万円を立
て替えてもらっているんだけど
…」
なんとなく不審な点はあった
が、女性は長男のことを思う
あまり、そのウソにだまされた。
「200万円ならすぐ用意でき
るよ」。
それを聞いた詐欺グループは、
携帯電話で少年たちに、女性方
へ行くように指示を出したのだ
った。
後は、長男の会社の社員を装
った少年らが、女性から200
万円を受け取れば、詐欺は
“成功”するはずだった。
しかし、偶然このとき、女性
方に1本の電話がかかってきた。
警視庁が振り込め詐欺防止の
ため委託している、民間の被害
防止コールセンターからの注意
喚起の電話だった。
「振り込め詐欺が多発している
ので、注意してください」
女性は、ふとわれに返った。
「さっきの電話は振り込め詐欺
ではないか…」。
女性は警察に相談。
大森署はすぐに女性宅に捜査
員を派遣し、何人も周囲に張り
込ませた。
■「怪しい仕事と思った」
16万円の高額“バイト”
少年らは、そんなことはつゆ
知らず、その日の午後、女性宅
に向かっていた。
少年がスーツを着て、長男の
会社の社員を装って女性宅を訪
れ、男子高校生は近くで
「見張り役」を務めた。
「タカハシ」の偽名を名乗る
少年に、女性はだまされたふり
をして、
「息子に渡してください。お金
です」
と、1通の封筒を手渡した。
封筒を受け取った少年が女性
宅を出て歩き始めた瞬間、近く
に隠れていた私服の捜査員らが
飛び出してきて、あっという間
に取り囲んだ。
「ちょっと君、今の女性から何
をもらったの?」
近くにいた男子高校生も、
すぐに取り押さえられ、2人は
詐欺未遂の現行犯で逮捕された。
逮捕当初、少年らは
「受け取ったのはカネではなく
書類だと思っていた」
などと供述し、振り込め詐欺と
は知らなかったような弁解を
していたが、調べが進むと、
「怪しい仕事だとは思っていた」
などと、供述するようになった
という。
捜査関係者によると、少年ら
は受け取りに成功すると、詐取
金額の8%が支払われる約束に
なっていたという。
仮に今回、200万円の詐取
に成功していれば、少年たちに
は16万円の「高額バイト」に
なっていたはずだった。
■罪の意識薄いまま、
簡単に詐欺の片棒を…
「逮捕された2人は、どこにで
もいそうな普通の少年だった」。
捜査関係者は話す。
少年は高校を中退して定職に
も就いていなかった。
捜査関係者は
「手軽にまとまった額の現金が
入る仕事は魅力的に映ったの
かもしれない」と話す。
もう1人の男子高校生は、
もともとは少年の同級生で、
留年していたとみられる。
少年らは、自分たちを誘った
先輩は知っていたが、指示を出
していた振り込め詐欺グループ
については、ほとんど詳しい
ことを聞かされていなかった
ようだ。
少年らに携帯電話で指示を出
した男についても、大森署は
詳しく取り調べたが、少年らは
「知らない男」と答えるばかり
だったという。
渡されていた携帯も、架空の
名前を使って契約された
「飛ばし」の携帯だった。
大森署は、指示を出していた
詐欺グループについて捜査を続
けているが、全容は解明されて
いない。
逮捕されているのは少年ら
2人だけだ。
振り込め詐欺は、警視庁や
民間団体が防止活動を続けて
おり、7月12日には、
タレントの安めぐみさんが東京
・丸の内で防止を訴える全国
銀行協会主催のキャンペーンも
行われた。
被害に遭わないように備える
機運も高まりつつある。
大森署幹部は
「詐欺グループは、受け子が
逮捕されても自分たちは逃げら
れるようにしていることが多い。
ある意味で『使い捨て』にされ
るのが受け子だ」
と指摘し、こう警鐘を鳴らす。
「若者が罪の意識も薄いまま、
振り込め詐欺の受け子になって
いる現状がある。被害防止だけ
ではなく、加害者を増やさない
ようにする対策も重要だ」
怪しいと思ったら、手を出さ
ないのが、一番です。
しかし、お金が無いと、つい
つい手を出してしまうのが、
人情なんでしょうね。
逮捕歴は、今後の人生にどん
な形で、彼らに付いてくるの
でしょう。
美味しい話には、裏がある。
昔から、言われてる言葉です。
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