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【衝撃事件の核心】
大阪府警の「決断」
連続放火容疑者はこうして逮捕された
2012.11.10 18:00 産経新聞
炎を上げて燃え上がる建物
10月24日午後2時53分、
大阪府八尾市幸町
(本社ヘリから恵守乾撮影)
「仕事に行ってくる」。
同居の両親にこう言い残して
家を出た42歳の男は自転車に
またがり、白昼堂々と住宅街で
火を放ち続けた。
大阪府東大阪市と八尾市、
大阪市平野区で9月17日以降、
放火が16件相次いだ。
始めは自転車やアパート前の
洗濯機などが燃やされたが、
日を経るごとにエスカレート。
空き家や家の壁にも直接火が
放たれ、隣接民家に延焼する事態
に発展した。
「このままでは死人が出る」。
直接証拠がなかなか得られない
中、男の暴走を止めたのは、勝負
に出た大阪府警の「決断」だった。
■あちこちで煙「まるで空襲…」
「早く逃げろ」
「こっちにも燃え移るぞ」
放火魔が放った火は瞬く間に
建物を飲み込んだ。
10月14日正午ごろ。
大阪府東大阪市大蓮東で
「路上で段ボールのようなものが
燃えている」
と通行人から119番があった。
消防が駆けつけたところ、
火はすでに軒先にあった廃材と
段ボールから木造2階建て住宅に
燃え移っていた。
懸命の消火作業にもかかわらず、
約80平方メートルの住宅は全焼
した。
火災はこの1件に止まらなかっ
た。
午後2時ごろまでのわずか2時
間で、半径1キロ圏内の工場の
資材置き場、農機具小屋などが燃
える火災が4件発生。
八尾市久宝園の貸倉庫で起きた
火災は周囲の民家3軒にも延焼し、
計5カ所の火災現場からは白煙が
もうもうと立ち上った。
その様子は、住民が
「まるで空襲にあったみたいだ」
と漏らすほど。
幸いにもけが人はなかったが、
近隣住人は
「次はうちが燃やされるかも…」
と恐怖に震えた。
現場周辺では、9月17日に
3件、19日に5件、10月8日
に1件の不審火が相次いでいた
からだ。14日の5連続不審火も
同一犯とみられた。
■つかんだ尻尾
炎に包まれる住宅を見て調子に
乗ったのだろうか。
放火魔が尻尾を見せたのは
10月14日の1件目の火災現場
だった。
「あなたの家、燃えていますよ」
東大阪市大蓮東で家が全焼した
会社員の男性(43)は放火され
る直前、母親と一緒に近くの公園
に出かけた。
すると、自転車に乗った40代
ぐらいの男が近づき、男性にこう
告げて立ち去ったという。
「見慣れない顔で不気味な感じが
した。今思えば、放火犯が私たち
が家を出て行くのを見届けてから
放火したのかも…」。
自転車に乗った不審な男は、
続けて発生した八尾市久宝園の
火災現場でも目撃されていた。
近所の女性(73)によると、
男は現場近くで自転車を押しなが
ら歩いていた。
前かごに白い袋を入れ、笑みを
浮かべているようにも見えたと
いう。
男は人だかりができるとすぐに
姿を消した。
こうした目撃情報に加え、府警
の捜査で、複数の火災現場近くの
防犯カメラに、自転車に乗った男
の姿が出火前後に写っているのが
確認された。
捜査の手は確実に放火魔に迫っ
ていた。
■職務質問で容疑者断定
住民の目撃情報や防犯カメラの
映像から、府警は放火魔を
「自転車に乗った40歳くらいの
男」と断定した。
「できれば現行犯で逮捕したい」
と厳戒態勢を敷く中、
10月24日午後、再び八尾市と
東大阪市で放火事件が発生した。
八尾署員が不審な男を見つけた
のは、2件目の東大阪市花園本町
の火災現場近くだった。
黒いキャップ帽に眼鏡をかけ、
自転車にまたがる中年の男。
「目撃情報と似ている」。
ぴんときた署員はすぐに男を呼
び止め、職務質問した。
男は「永峰崇です」と素直に
本名を名乗り、本当の住所も隠さ
ずに答えた。
だが、態度は落ち着きがなく、
リュックサックに入っていた可燃
性のスプレーと接着剤は
「ブロック塀を直していた」
などと不自然な回答に終始した。
「怪しい」。
署員はそう感じたが、ライター
やマッチなどの着火できるものは
持っていなかった。
このため、名前と住所を確認し
ただけで、署への任意同行は断念
せざるを得なかった。
この情報はすぐに捜査本部に
あげられた。
捜査本部はこの男が連続放火魔
の可能性が高いと断定したものの、
手元にある証拠は防犯カメラの
映像しかない。
その映像も出火時間の前後に男
の姿が映っているだけで、火を付
ける瞬間は写っておらず、
直接証拠はゼロ。
すぐに逮捕に踏み切れる状態で
はなかった。
府警は「勝負」 あっさりと自供
それでも、府警は“勝負”に出た。
職務質問から2日後の26日午後
0時半。
捜査員は八尾市小阪合町にある
永峰容疑者宅を訪れた。
「おうかがいしたいことがあります
のでご同行願えますか」。
捜査員が任意同行を求めると、
永峰容疑者は観念したのか素直に応
じた。
同行された柏原署で永峰容疑者は
あっさりと「私がやりました」と
自供。
この日の夜、10月14日午後に
八尾市新家町の農機具小屋2棟に火
をつけ全焼させた非現住建造物等
放火容疑で逮捕された。
府警幹部は
「もっとじっくり時間をかけてから
勝負に出たかった。しかし、放火は
エスカレートしており、次に火を
つけられると死者が出る可能性も
あった。犯行を止めることを最優先
にした」
と話した上で、こう打ち明けた。
「否認されれば逮捕はできなかった
かもしれない」
■ドキドキが快感に
永峰容疑者が供述した動機はあき
れるようなものだった。
府警によると、永峰容疑者は一戸
建て住宅に両親と3人暮らし。
7月まで倉庫会社で派遣社員とし
て働き、倉庫内の商品を整理する
仕事についていたが、
「時々へまをして、会社をクビに
なった」という。
その後、再就職先を探したが、
面接にすらこぎつけない状態が続い
た。
両親には仕事に出ていると嘘を
つき、昼間は自転車で周囲をうろ
ついた。
次第に焦りといらだちを募らせ、
ストレス解消の手段に選んだのが
放火だった。
「暇はいくらでもあるけど、金が
なくイライラが募った。9月ごろ
から放火をするようになった」
「火をつけて逃げるときのドキド
キした快感が気晴らしになった」
こう供述する永峰容疑者だが、
普段の様子は温厚な
“近所のおじさん”だった。
永峰容疑者宅の近くに住む女性
(40)は逮捕に驚いた上、
「子供を散歩に連れて行ってもら
ったこともある。やさしい人だっ
た」と言葉少なに話した。
放火犯の大半の動機が仕事や
家庭の憂さ晴らし、ストレス解消
とされる。
地域住民の間でも
「あの日以来、また放火が起きな
いか本当に怖い」
と不安を訴える人も少なくない。
永峰容疑者の放火で家が全焼し
た会社員の男性(43)は憤る。
「住む家を失って途方に暮れている
。一体なぜこんなことをしたのか…」
。
永峰容疑者の罪は憂さ晴らしで済
むほど軽いものではない。
火の怖さと言うのは、身をもって
知ってます。
放火と言う行為は、無差別殺人を
画策したのと同じです。
昔、手伝いで、廃材などを、焼い
てましたが、風の吹き方って、
予想が付きません。
急に変わる事が、有って、私の方
に向かってくる事も有りました。
野焼きで、被害に遭う人が、居る
のもそうした事でしょう。
密集したところなら、風は、舞
ますから、火の動きは、より読め
ないでしょう。
でも、火を点けるのは、快感でも
有るんですよね。
燃え方の凄さ!すっきりします。
そう言う意味では、私も放火犯の
下地は、あるのかも?知れません。
動物の中で、火を操れるのは、
人間だけですからね。
この犯罪も、言ってみれば、愉快
犯の犯行です。
しかし、やってはいけない犯行で
すから、殺人罪と同等に扱って
ほしいものです。
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【衝撃事件の核心】 大阪府警の「決断」 連続放火容疑者はこうして逮捕された。
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