http://sankei.jp.msn.com/world/news/121007/chn12100712010002-n1.htm
【国際情勢分析 河崎真澄の目】
日本車憎し「四面楚歌」
2012.10.7 12:00 産経新聞
10月7日までの国慶節連休で中国国旗が
街中に掲げられている上海市内の渋滞風景。
自動車販売台数は増え続けているが、日本車
の市場シェアは低下している
(河崎真澄撮影)
日米欧など世界の自動車
メーカーが「主戦場」と位置づけて
いる中国市場で、日本車が厳しい
局面を迎えている。
沖縄県の尖閣諸島(中国名・釣魚島)
をめぐる衝突が、日本車ボイコットを
加速させているからだ。
中国自動車工業協会が9月10日に
発表した8月の新車販売台数で、
乗用車は121万8900台と前年
同月に比べて11.3%増と、
5カ月連続で2ケタ増をキープした。
だが、日中合弁生産が大半の日本
ブランド車は22万6900台で、
逆に2%のマイナスに終わった。
協会では、
「釣魚島の状況と関係している」
として、反日感情の広がりが日本車の
販売に影響し始めているとの認識を示
した。
■最大の懸念は「空気」
中国では日本政府による9月11日
の尖閣国有化後、反日デモの猛威が
吹き荒れ、一部が暴徒化して日系企業
や店舗、日本車を次々と襲撃。
満州事変の発端となった1931年
の柳条湖事件から81年の9月18日
には、中国125以上の都市で100
万人前後が参加したという史上最大の
反日デモが演じられた。
官民挙げて反日が跋(ばっ)扈(こ)
した9月。
その新車販売台数はどう動くか。
協会は12日にも数字を公表するが、
日本車の大幅なダウンは避けられそう
もない。
反日デモの一部が日系自動車メーカ
ーの完成車や部品メーカーの工場、
販売店を襲撃した後遺症に加え、
一部の工場で起きた反日便乗とみられ
る従業員のストなどもある。
工場の多くは操業停止を余儀なくさ
れた。
だが今後、最大の懸念は中国全土に
蔓延(まんえん)する「空気」に移る
だろう。反日感情の膨張で、日本車を
購入する中国人が“後ろ指”を刺され
る「空気」が中国社会に広がっている。
デモで日本車が標的となり、多数の
日本車が憎悪の対象となって転倒させ
られ、激しく破壊された。
仮に破壊による被害が損害保険で
カバーされるとしても、誰しも襲撃の
標的になるリスクは避けたい。
日本車オーナーの中国人が負傷した
との報道もある。
■想起される文化大革命
中国で販売される日本車の大半が、
日本メーカーからの資本や技術の
供与を受けた日中合弁の中国国内
工場で生産されて利益を生み、部品
や流通、販売を含めれば数百万人の
中国人を雇用して中国経済に長年に
わたって貢献してきたことなど、
暴徒はまったく考慮しない。
ただただ「日本」だけが憎いのだ。
こうした「空気」は1960年代
から70年代にかけて中国全土を覆
った文化大革命時代を想起させる。
資産家は全員が
「資本主義の走(そう)狗(く)」
とされ、台湾に逃れた中国国民党の
残党や、戦前や戦中に日本と関わり
のあった中国人まで迫害の対象に
なった。
中世の魔女狩りにも似た
“恐怖社会”が、中国人の心理と
行動を駆り立てる。
この「空気」をはねのけて日本車
の優れた性能、耐久性や美しさなど
を中国人消費者に訴求していくこと
は至難の業。
しかも、中国のテレビや新聞など
は日本企業に関する記事や広告の
放送、掲載を相次ぎ拒否。屋外など
での販売キャンペーンも、妨害に
あって打てない状況だ。
■今年は20%割れか
ただ、日本車の販売シェアはそも
そも下降局面にあった。
米経営コンサルティング大手アリ
ックスパートナーズによれば、
2008年に620万台だった中国
の乗用車市場で、中国系、ドイツ系、
米国系、韓国系を抑えて日本車が
31.4%と首位だった。
しかし、市場が1230万台だっ
た11年に日本車は24.1%と
3年でシェアを7.3ポイントも下
げた。
720万台の今年1~7月に日本
車は21.6%とドイツ系の23.
0%についに抜かれた。
米国系もじわじわシェアを伸ばす。
通年で日本車は20%を割り込む
懸念がある。
9月5日に記者会見したアリック
スパートナーズは、日本車不振の
原因を東日本大震災の影響に加え、
中国での生産態勢や販売車種ポリシ
ーの失敗と分析しているが、日中
関係悪化の間隙を突いた欧米メーカ
ーの対中市場攻勢も大きな要因と
なっていることは指摘しなかった。
アリックスパートナーズのシェア
調査とは別の話だが、反日デモの際、
ドイツ系アウディの販売店で、
「現地従業員の独自判断」
(アウディ側の説明)によって、
「日本人を殺し尽くせ」
との信じがたい横断幕が掲げられた
事実がある。
公開された写真を見る限り、アウ
ディの車をバックに十数人のスーツ
を着た販売員や整備作業員らが、
横断幕を持って、拳を突き上げて
いる。
個人的な意見表明ならショールー
ムの前でネクタイを締めてする必要
はない。
合弁工場、消費者、ライバル企業
…。
主戦場の中国で日本の自動車メー
カーはいま
「四(し)面(めん)楚歌(そか)」
の状態に置かれている。
(上海 河崎真澄、写真も)
まあ、中国市場は、諦める事ですね。
他に根を張るのが一番です。
日本車の魅力を知ってても、買えな
いでしょう。
何か有れば、破壊されるんだもの。
中国に自動車保険と言う物が存在
るなら、日本車の保険料は、思いっ
切り高いものとなるでしょう。
それ以前に加入を断られるかも?
知れませんね。
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