http://sankei.jp.msn.com/world/news/130113/asi13011312010002-n1.htm
【鼓動】
性犯罪以外にも顔面に酸かけなど女性への凶行多発 インド
2013.1.13 12:00 産経新聞
昨年12月29日、ニューデリー市内で、
女性への暴力反対を訴えて行進する学生ら
インドでは首都ニューデリーで
昨年起きた残忍なレイプ殺人事件
を受けて、性犯罪の防止や女性の
人権尊重を訴える学生らが連日、
政府への抗議デモを展開している
。
しかし、女性を標的にした悪質
な犯罪はレイプだけではない。
嫉妬や報復に狂った男が女性の
顔面などに強力な酸をかけ、人生
を破壊しようとする凶悪事件も
多発している。
被害者らは取り締まりの甘さに
怒り、治療費の捻出に悲鳴を上げ
ている。
(ニューデリー 岩田智雄、写真
も)
インド南部カルナタカ州バンガ
ロール近郊に住むジャヤラクシュミ
さん(35)が酒に酔った夫から
顔面に酸を浴びせられたのは
2003年のことだった。
「夫はいつも私に暴力を振るい、
カネを無心していた。ある晩、酒代
ほしさに私の宝飾品を差し出すよう
要求した。拒絶して、もう実家に帰
るというと、私が再婚するつもりだ
と邪推した夫は、私に酸を浴びせて
顔をめちゃくちゃにした」
ジャヤラクシュミさんは、電話口
でこう当時を振り返った。
左目は光を失った。
計8回の形成手術を受け、1回の
手術費だけで4万ルピー
(約6万4千円)かかった。
それでも痛みは消えず、あと、
最低4回の手術が必要だ。
被害を警察に届け、夫は事件から
4年後に逮捕された。
懲役10年の刑を受け服役中と
いう。
バンガロールを拠点に、被害女性
らを支援する非政府組織(NGO)
「女性への酸攻撃反対運動」
を設立したスシマ・バルマさんに
よれば、こうした犯罪は被害女性の
顔を醜くし、残りの人生を破滅させ
ようという動機によって起こされる
ケースが多い。
交際を断られた男や報復心を燃や
す夫、ストーカーらが犯行に及ぶ。
過去、何人もの被害者の治療に当
たってきた東部ジャルカンド州の
医師、アナント・シンハさんは、
「これまで診た患者の7~8割は、
病院から遠く離れた村に住んでいた
ために、治療を受けるまで24時間
以上たっていた。こうした場合、
失明したり、耳が聞こえなくなった
りするケースが多い」
と酸攻撃の深刻さを指摘する。
また、
「都会の私立病院なら、費用は一般
的に100万~150万ルピーかか
り、庶民にはかなりの高額だ」
と話した。
インドには酸攻撃を取り締まる
特別な法律はなく、正確な被害件数
は分からない。
英ロンドンを拠点にする国際酸
生存者基金(ASTI)のジャフ
・シャー氏によれば、酸攻撃を罰す
る法律がある隣国パキスタンでは
報告されているだけで毎年150件
の事件が起きており、実際の被害は
約400件とみられる。
人口が約7倍のインドでの件数は、
こうした数字や被害報道から年間
500~1千件と推測されるという
。
被害に遭ったジャヤラクシュミ
さんにまだ救いだったのは、酸攻撃
反対運動の裁判所への訴えが実り、
カルナタカ州政府が被害者に20万
ルピーの支援金を与えることを決め
たことだった。
ただし、こうした制度は全国的に
は広がっていない。
ほとんどの被害者は自前で治療費
を工面したり、ボランティアの医師
の好意にすがったりしている。
ソナリ・ムカジーさん(28)も
その1人だ。
大学生だった10年前、ジャルカ
ンド州ダーンバードで男3人に酸を
浴びせられた。
日ごろから性的いやがらせを受け
ていたムカジーさんだが、ある日、
これ以上の行動には法的措置を取る
と告げると、就寝中に侵入してきた
3人の 凶行に遭った。
治療のために滞在しているニュー
デリー市内で取材に応じたムカジー
さんは
「両眼は光しかみえず、耳も右側は
40%しか聞こえない。頭と首には
皮下組織を再生させるための器具が
入っている」
と話す。
公的な援助は一切なく、両親は
土地や財産を売り払ってこれまで
22回に及ぶ手術費を工面したが、
追いつかない。
手術は少なくともあと6回必要だ
という。
思い悩んだムカジーさんは昨年
11月、インドのテレビ局が放送す
るクイズ番組に出演し、賞金250
万ルピーが贈られることになった。
お金は今後の治療費に充てる予定
だ。
勇気を出して出演したムカジー
さんに、多くのインド人が拍手を送
っている。
そんなムカジーさんにとって、
いまなお許せないのは、3人の犯人
は最長で4年半拘束されただけで
保釈されたことだ。
「たった5千ルピーの賠償金さえ、
受け取っていない」と憤る。
酸攻撃反対運動のバルマさんは、
犯人の報復を恐れてひっそりと暮ら
す被害者もいるとし、
「酸攻撃の罰則は現在、最高で10
年の懲役だが、終身刑にし、保釈も
認めないようにすべきだ。酸攻撃を
取り締まる法律を一刻も早く成立
させてほしい」
と訴える。
酸攻撃に使われる清掃やサビ落と
し用の液体は誰でも容易に購入でき
ることも問題で、強力な酸の販売を
規制する必要性も強調している。
ただし、バルマさんは、重要なの
は
「法が適正に運用されることだ」
とも指摘する。
パキスタンやバングラデシュでは、
酸攻撃への処罰が強化されたものの、
捜査が十分に行われておらず、
「犯罪抑止にはほとんど効果を上げ
ていない」としている。
インドでは、レイプ事件も取り締
まりの甘さが指摘されている。
インド政府によると、11年に
被害届があったレイプ事件は約2万
4千件。
この年の同事件の有罪率は26%
しかなかった。
経済では、昨年まで高成長を続け、
新興国の一角として存在力を高めて
いるインド。
日本など外国企業の進出も加速し
ている。
その陰で、女性の人権を尊重する
国民の意識はまだ低く、貧困層も多
い。
各地では、レイプだけでなく、酸
攻撃や家庭内暴力に抗議するデモが
連日続いている。
全インド民主女性協会のアルビー
ナ・シャキルさんは
「他国と競争していく上で、女性
差別だけでなく、カースト制度、
貧富の差などあらゆる分野の差別を
なくしていかなければならない」
と話す。
ムカジーさんも
「レイプや酸攻撃の被害者は、家に
閉じこもっていてはだめ。団結して
声を出して、政府を動かさなければ」
と訴えた。
◇ ◇
酸攻撃
製品加工、洗浄用などの強力な酸が
使われる。
英NGO国際酸生存者基金(AST
I)によれば、インド、パキスタン、
バングラデシュ、カンボジアなど世界
では年間約1500件が報告されてお
り、被害者の8割が女性。
4割が18歳未満の子供。
カンボジアでは夫の不倫に怒った
女性が加害者となるケースも多い。
日本では、塩酸や硫酸は、毒物、劇物
に指定されてますから、こうした物質
による犯罪は、少ないです。
手に入れるのが面倒ですから。
一般的には、理科や科学の授業で触っ
たくらいと言う人の方が、多いのでは
?
きょう日、企業でも出来うる限り、
毒劇物を工程から排除する方向に変わ
って行ってるのでは?少なくとも日本
では。
しかし、世界は、違う様ですね。
酸は簡単に手に入る様です。
しかも、酸攻撃と言うものは、ポピュ
ラーなものの様です。
基金が設立されるくらいですからね。
女性に対すこうした暴力が無くならな
い限り、インドは、国際社会で、その
強い立場を確立するのは、難しいで
しょうね。
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【鼓動】 性犯罪以外にも顔面に酸かけなど女性への凶行多発 インド
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