http://www.sankei.com/premium/news/150106/prm1501060003-n1.html
【経済インサイド】
凋落サムスン「再編」仕掛ける2代目「イ・ジェヨン」とは何者か…46歳「慶応大卒」「バツイチ」の力量は
2015.1.6 06:00更新
心筋梗塞で昨年5月に倒れてから7カ月余りが
経過したサムスン電子の李健煕会長
(左、聯合=共同)。長男で副会長の李在鎔氏
(右、AP)が、いつ会長に昇進するのか。
韓国国民の一大関心事になっている
韓国・サムスン電子が、病床にあるグループ
総帥の李健煕(イ・ゴンヒ)会長から、
“プリンス”こと息子の李在鎔(イ・ジェヨン)
副会長への権力移行を加速させている。
グループ再編や幹部人事を指揮し始めている
ほか、失速著しいスマートフォンの“次”の
主力事業についても照準を定めつつある。
「サムスンが躓(つまず)けば、韓国全体が沈む」
とされる巨大企業を、慶応ボーイでバツイチと
いう46歳の若きプリンスが再び成長軌道へと導
けるのか。
■韓国2位の富豪に、1位は父
「会長が病に倒れなかったら、こんなことが起き
たか。祖父と父が起こした事業を孫(=李在鎔氏)
が勝手に整理するのは先代の遺志に反する」
そう副会長を激しく非難するのは、昨年11月
26日に売却が発表されたグループ会社の1社で、
軍事機器の製造を手がけるサムスンテックウィン
の社員。
韓国紙・ハンギョレ新聞のインタビューに答え
た。
サムスングループは、韓国GDPの2割を占め
る同国の象徴的企業。毎年、新卒社員募集には
10万人が応募するなど、同社で働くのは韓国
国民にとって誇りなだけに、売り飛ばされる会社
の社員にとってはたまったものではない。
5月に倒れたまま意識が戻らないとされる父
・健煕会長の不在をいいことに、御曹司が会社を
私物化していると受け止められたようだ。
一方、この事業再編について、市場ではプリン
スの手腕を評価する声も強い。
テックウィンのほか、サムスン総合化学やサム
スントタルなどの化学事業といったグループ内の
非中核事業を、中堅財閥のハンファグループに
約1兆9000億ウォン(約2000億円)で
売却する内容。
グループの中核となる電子機器や金融、建設
部門に経営資源を集中させるほか、得た資金を
新規事業への投資資金に充てる狙いとみられて
いる。
さらに在鎔副会長は昨年12月、自身が
約25%を保有する筆頭株主で、レジャー施設
や不動産管理、ファッション衣料など手がける
第一毛織(旧サムスンエバーランド)を上場さ
せた。
実は同社はサムスン生命保険の大株主で、
さらにサムスン生命保険はサムスン電子の大株
主。
第一毛織はグループの支配構造の頂点に立つ
だけに、企業価値は莫大(ばくだい)だ。
副会長は、11月にも自身が主要株主で情報
技術(IT)サービス会社のサムスンSDSも
上場させている。
ソウル聯合ニュースなどによると、これらの
新規上場で在鎔氏は父親に次いで、韓国の富豪
2位に浮上。
使い道は諸説あるが、資産売却による父が亡
くなった場合に課される日本円で数千億円とさ
れる相続税の支払い、新規事業への再投資、
グループ企業への再投資による在鎔氏の支配力
の強化などとされ、いずれもその通りだろう。
■バツイチ、“ひ弱”さ指摘も
急速かつ着実にサムスングループの権力を掌握
しつつある在鎔氏とは、一体どういう人物か。
サムスングループを巨大財閥に育て上げたカリ
スマ経営者である健煕会長の長男は1968年生
まれ。
ソウル大卒業後、慶応義塾大学で2年間経営学
を学び、ハーバード大で経営学の博士号を取得し
たとされる華麗な学歴。
英語と日本語が堪能という。
ソウル大在学中の1991年にサムスンに入社
し、トントン拍子で出世した。
ただ、入社後はこれといった実績もなく、社内
では御曹司について
「人当たりは良いが、会長のような野心が見えな
い」とひ弱さを指摘する声も。
「たたき上げで(グループ企業の)ホテル新羅
社長に就任した長女の李富真(イ・ブジン)氏の
方が父親の才能を引き継いでいる」との指摘も
あるという。
ちなみに他の財閥系令嬢との結婚、離婚歴も
あるようだ。
韓国経済を背負うサムスンのトップに求められ
るのは、成長を牽引(けんいん)するリーダー
シップだ。
李健煕会長は半導体とスマホでサムスンを世界
的な企業に押し上げた。
当然、韓国国内では後継者に同様な経営手腕を
期待している。
ただ、育ちの良い慶応ボーイの李在鎔氏が、
グループを掌握する権力を得たからといって、
早稲田大出身という父親と同等、またはそれ以上
の成果を出せるかは未知数だ。
一方で、父・健煕会長は息子・在鎔氏を後継者
として育ててきた。
中国の習近平国家主席とも複数回“トップ外交”
を行わせるなど、海外要人との会談をセッティン
グし、サムスンの顔として国内外で存在感を高め
るよう演出してきた。
在鎔氏が仕切ったとされる事業再編やグループ
企業の上場、幹部人事についても、病床の健煕
会長に代わり、会長の参謀組織でもある未来戦略
室の崔志成(チェ・ジソン)室長が全面的にバッ
クアップしたという見方も強い。
今後、当面の経営について、日本総研の向山
英彦上席主任研究員
「在鎔氏が、崔室長率いる未来戦略室との二人三
脚で経営にあたることになる」と分析する。
■不祥事続き“御曹司界”では絶対王者
そして、サムスンの最大の課題とされるのが
低迷するスマホ事業の次へのシフトだが、プリン
スは事業創出にも動き出している。
その一つが半導体事業の強化だ。
今後はビッグデータ市場の拡大が見込まれ、
半導体メモリーの需要が伸びるとみられる。
ライバルの東芝に先手を打つ形で、10月に
約1兆6000億円を投じ、半導体工場を建設す
ると発表した。
もうひとつが自動車事業だ。
すでに電気自動車(EV)用のリチウムイオン
電池でシェアトップだが、車の電子化を想定し、
「独自にEVそのものに参入する」(業界関係者)
との噂も流れている。
さらに、在鎔副会長が次世代の事業として、
大きな期待を寄せるのがバイオ分野だ。
昨年11月にはスイスへ出張し、生産委託契約
を結ぶ製薬会社ロシュのセベリン・シュワン最高
経営責任者(CEO)と会談した。
スイスからの帰国途中には極秘に日本にも立ち
寄り、国内の製薬会社などとも会談したもようだ。
サムスンは、韓国内に医薬品製造工場を相次い
で建設しており、生産量の拡大などを話し合った
とみられており、保有する巨額資金で日本企業に
投資する可能性も十分ある。
会長不在の中、御曹司は、精力的に海外要人と
会い、新規事業の種を仕込んでいる。
テレビやスマホに続き、EVやバイオ事業でも
日本勢の脅威となりそうだ。
日本総研の向山上席主任研究員は、
「李在鎔副会長は偉大な父を超えるため、自分の
代で成長を牽引する新規事業を作ることを強く
意識しているはず」と指摘する。
父の用意した舞台で踊らされる現状からいかに
脱皮し、自らが手がけた事業でサムスンの凋落
(ちょうらく)に歯止めをかけらることができる
か。
父に替わり会長就任が時間の問題とされる中、
真価が問われるのはこれからだ。
また、昨年末に話題になった大韓航空の
“ナッツリターン”元副社長など、韓国財閥で
は二世、三世の不祥事が続いている。
在鎔氏は、そうした財閥“御曹司界”でも
絶対王者といえる存在。
経営で範を示せるかどうかも、韓国市民の注目
の的となっている。
なるほどー。別の分野を開拓し始めてるのですね
。
多分、この息子だけの考えでは、無いでしょう。
各企業には、参謀役が存在する事が、多いですか
ら。
余程、ワンマンでない限りは。
果たして、凋落を食い止める事が、出来るのか?
その手腕に期待する人は、多いでしょう。
特に韓国政府はね。
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