http://www.sankei.com/west/news/141027/wst1410270002-n1.html
【経済裏読み】
シャープに改革疲れ、先祖返りか…ヒラメ社員増殖で高橋社長を悩ませるカリスマの“亡霊”
2014.10.27 07:00 産経新聞
企業風土改革が正念場を迎え、危機感を共有
するため社員にメッセージを送ったシャープの
高橋興三社長
経営再建中のシャープの企業風土改革が正念場を
迎えている。
平成26年3月連結決算で黒字転換し、9月に
最大の課題だった1000億円の社債の返済も乗り
切ったことで、社内の危機感が緩んできているのだ
という。
高橋興三社長は今月に入り、
「改革疲れや先祖帰りを強く懸念している」と訴え
る署名入りメッセージを各事業所に送った。
まもなく発表の26年7~9月期の業績について
「大変な苦戦を強いられた」と打ち明け、部門同士
のいがみ合いや指示待ちのヒラメ社員が再び目立っ
てきた社内の引き締めに躍起だ。
(松岡達郎)
■急激に悪化
「危機を乗り切ったと思っている方(社員)がいた
ら直ちに考えを改めてください」
高橋社長はメッセージでこう強調した。
確かに、金融機関への公約ともいえる中期経営
計画(3年)の1年目にあたる26年3月期連結
決算では最終損益は115億円の黒字
(前期は5453億円の赤字)を計上し、社内外に
復活を印象づけていた。
続く26年4~6月期連結決算は最終損益が17
億円だった。欧州での太陽光発電事業からの撤退に
伴う損失処理が響いたが、前年同期
(179億円の赤字)に比べると赤字幅が縮小。
高橋社長はメッセージで
「期待に何とか応えられる内容」と一定の評価を下
した。
ところが、まもなく発表される26年7~9月期
連結決算については「大変な苦戦を強いられた」と
厳しい言葉で表現し、中期経営計画の後半戦に入っ
た10月以降については
「ひとつの事業部のわずかなほころびが全社に影響
しかねない『薄氷』とも言える状況」と危機感を
あらわにする。
メッセージでは、一説では経営危機に陥った企業
で短期の「V字回復」を果たす企業は25%にとど
まり、残りの75%は「緩やかな回復」さえままな
らない状況に追い込まれると指摘。
その上で
「われわれはどちらに向かうのか岐路にたたされて
いる。これが2年目」と訴える。
高橋社長は
「経営危機に陥った会社はどこも1年目はリストラ
効果で乗り切れる。それがなくなる2年目こそ勝負」
と周囲によく語っている。
その正念場ともいえる時期に緩んでいる場合では
ないというのだ。
■シャープの改革対象
昨年6月に就任した高橋社長は、会見で
「社員が自分で判断して自分でチャレンジし、上から
の指示を待たない。そういう企業風土に変えたい」
と述べ、「かえる」運動と呼ぶ企業風土改革に着手
した。
「けったいな文化を変える」と繰り返し、社内では
相手を役職ではなく、「○○」さんと呼称する
「さん付け運動」の推進を呼びかけ、現場の意見を
上司や経営トップに直言できる風通しの良いフラット
な組織づくりに取り組んだ。
高橋社長が「けったいな文化」と呼ぶ改革の対象と
は、上意下達の強すぎた企業風土だ。
もともと同族経営が続いてきたこともあり、社内に
ワンマン社長の判断に疑問を持ったり、水を差すよう
な情報を報告できる雰囲気はなかったという。
「液晶のシャープ」という一時代を築いた4代目の
町田勝彦氏(現特別顧問)の社長時代には経営トップ
のカリスマ化に拍車がかかった。
後継社長の片山幹雄氏(現日本電産副会長)も液晶
事業への巨額投資に突き進んだが、世界的な薄型テレ
ビの需要減など情勢が変化しても計画の中止・変更
などを求める意見はなかったという。
逆にアイデアマンで明確なビジョンを示す片山氏の
指示を待つ傾向が強まったといわれる。
このため、シャープには社員に指示待ち傾向が強ま
り、経営トップの意向を背景にした管理部門が事業
部門の方針に介入してくるケースも横行したとされる。
■悩ましい亡霊
高橋社長がメッセージで懸念した改革疲れや先祖帰
りとは-。
実は
「片山氏の社長時代は明確なビジョンと会社の将来像を
示してくれた」と懐かしがる社員が少なくないという。
片山氏は8月末で退社するまでは巨額赤字を招いた
時代の経営トップだったうえ、社長退任後も経営に介入
し続けたとして“ゾンビ経営者”と呼ばれていた1人だ
が、関係者は
「明確なビジョンを示して『ついてこい』と引っ張る
片山氏に慣れた社員には、全員で決めようとする高橋
社長の姿勢を物足りなく感じることがあるのかもしれ
ない」と解説する。
さらに、危機意識が希薄化した結果、本社の管理部門が
液晶事業部門を「巨額赤字を招いた元凶」と会議などで
一方的にやり玉に上げなど社内の軋轢(あつれき)も目立
っているといい、高橋社長はメッセージで
「社内で『綱引き』をしている余裕などない」と呼びかけ
た。
26年7~9月期に大変な苦戦を強いられ、中期経営
計画の後半戦に薄氷の状態で突入したシャープ。
中国のスマートフォンメーカーへの顧客開拓が好調な
液晶パネル事業などの健闘をよそに、高橋社長を悩まし
ているのは、社員の意識にしみついているカリスマ経営
者時代の“亡霊”といえそうだ。
サムスンの進撃が、止み掛けてるのに、そのシェアを
奪い返す絶好の機会なのにね。
シャープは、その波に乗り損ねそうですね。
企業体質って、簡単に変革出来ませんから。
潰れて行く会社の例としては、良い物を社会に残して
くれてるのかも?
自社の今をシャープの例に比較して見れば、倒産回避
の指針になるかも?知れませんね。
いや、シャープが、倒産するか?どうか?は、判りませ
ん。
回避する為の舵取りに必死でしょうから。
でも、他社から見れば、良い指針になるでしょう。
自社の体質の見直しには。
技術は、持ってるのに残念な会社です。
因みに、梅さん、シャープ製品、結構、使ってます。
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シャープに改革疲れ、先祖返りか…ヒラメ社員増殖で高橋社長を悩ませるカリスマの“亡霊”。
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