http://sankei.jp.msn.com/west/west_economy/news/140918/wec14091807000001-n1.htm
【経済裏読み】
韓国経済崖っぷちでもスト断行の「KY」か…労働争議とウォン高に悩む韓国現代自、労組は「貴族」とさえいわれ…“蜜月”中国では日米欧に韓国勢は後塵を拝す
2014.9.18 07:00 産経新聞
車載カメラが取り付けられた現代自のセダン
「グレンジャー」。顧客獲得にさまざまな技術を
取り入れようとしている(ロイター)
韓国の自動車メーカー5社の8月の世界販売
台数が前年同月実績を割り込んだ。
筆頭メーカーである現代(ヒュンダイ)自動
車は前年同月比5・9%減の35万台。
国内販売台数は11カ月ぶりに、5万台を切
った。
販売不振の背景にあるのは、韓国で恒常化し
ている労使の対立劇にある。
聯合ニュースによると夏季休暇と労組の時限
ストライキで生産と供給に支障をきたし、ほと
んどの車種の販売が減少した。
景気が長期低迷入りの崖っぷちにあっても、
ストを断行できるお国柄に、グローバル企業が
抱える悩みは深い。
■14.4兆ウォン(1.4兆円)超…
もの巨額“損失”
9月1日に発表された現代、起亜、韓国GM、
双竜、ルノーサムスンの5社の8月の韓国内を
含む世界販売台数は、前年同月比で7・3%減
の63万8000台にとどまった。
聯合ニュースなど現地メディアが報じた。
国内販売は前年同月比3・9%減、輸出は
8・0%減といずれもマイナスで、
「8月の休みシーズンや労組の時限ストの影響
で、内需と輸出で両方が振るわなかった」
(自動車業界関係者)ためとみられている。
韓国経済の屋台骨を支える自動車業界だけに、
ストは経済活動に陰を落とす。
現代自動車労組は賃金交渉で、前年純利益の
30%の成果給支給、基本給引き上げ、定年の
追加延長、解雇者の復職などを要求していたと
いう。
年次賃金交渉の決裂を受けて現代自動車労組
が22日に突入したストで、損失は400億
ウォンにのぼるとの試算を東亜日報(電子版)
は伝えた。
さらに中央日報(電子版)によると、現代
自労組が8月28日に行ったストは前週末の
4時間から12時間に増やされ、正規勤務
17時間中、工場稼働は5時間のみ。
これに伴う支障は、1100億ウォンにも
なる。
現代自では労組設立以来、27年間のうちで
4年間以外は毎年ストが行われ、すでに総額
14兆4000億ウォン相当の生産に影響が出
ているとロイター通信は報じている。
現代自の社員の平均年収(生産職)は1億
ウォン(2012年)を超え、韓国トップ
クラスにある。
■ストで支障は「韓国」と「南アフリカ」
だけ?
日本では、消費税増税前の駆け込み購入の
反動減で自動車販売が減速しているが、労働
争議の影響が自動車の販売統計にまであらわれ
るような事態はここ30年はない。
韓国ではストライキは日本で考えられない
ほど、たやすく実施され、またそれが慣例化し
ているのだ。
「“貴族労組”“彼らだけのリーグ”という
周辺の冷笑と非難を受けている」
中央日報は、現代自の尹甲漢社長は、毎年の
労使紛争にこう苦言を呈し、談話を通じて、
「いつまで最大成果(報酬)ばかり要求し、
社会的批判を自ら招くのか」とのコメントを出
したと報じた。
毎日経済新聞(電子版)も世界的な新車需要
拡大で、主要メーカーが工場をフル稼働する中、
「韓国と南アフリカ共和国のみ労組ストによる
生産支障で疲弊している」と指摘。
自動車メーカーが、海外に生産のウエイトを
移す“脱韓国”の動きを加速させる一因になっ
ているとの見方は強い。
2008年に現代自の海外生産比率は約40
%だったが、昨年は約60%にまで上昇。
証券アナリストの意見を引用して中央日報は、
「慢性的ストが海外基地建設の口実を作り、
生産構造を変えた」と報じた。
■大企業に集中する「富」、ストに理解も
とはいえストが、韓国内で一定の理解を得ら
れてきたのも事実だ。
その背景には、財閥系など一部大企業への富
の偏在に対する不満がある。
ハンギョレ新聞(電子版)が報じた国会の
報告書
「韓国の家計・企業所得現況及び国際比較」に
よれば、1995年から2012年までの18
年間で、国民総所得(GNI)に家計部門所得
が占める比率は70・6%から62・3%と
8・8ポイント下落。
一方で企業所得の比率は6・6ポイント上昇
し、23・3%にまで高まった。
原因としては、自営業者の没落のほか、
2000年代に入って急増した家計負債(借金)
による所得低下があげられている。
韓国では、李明博前政権時代の2008年に
法人税を25%から22%に軽減されたが、
それの恩恵は企業にとどまり韓国内に還流して
いないとの見方も強い。
現代自動車は、サムスン電子と並ぶ韓国経済
のリード役だが、その半面、批判の的にさらさ
れやすい宿命にある。
■「蜜月中国」でもシェアは「中欧日米」の
次
現代自の先行きにとって、足元での最大の
課題はウォン高への対策だ。
聯合ニュースによると、現代自グループ傘下
の自動車産業研究所の報告では、ドル=ウォン
の為替相場が1ドルあたり10ウォン高になれ
ば、韓国自動車産業の売上高は4200億ウォ
ン減るとの試算がある。
報告書は、円安で勢いづく日本メーカーと
生産力の高いドイツメーカーの攻勢が続く中、
韓国メーカーの競争力低下を懸念。
技術開発と新市場の開拓を提言した。
だが、実現はそうたやすくはない。
朴槿恵政権との蜜月ぶりが際立つ中国は、
世界最大の自動車市場に成長している。
ここでの2013年の韓国車のシェアは
2・3ポイント上昇し8・8%に高まったが、
欧州メーカー(22%)、米国メーカー
(12%)に比べてなお差が大きい。
尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖での中国漁船に
よる不法侵入で日中関係は冷え込んでいたが、
実はそれでも日本勢のシェアは16%を確保。
日本車への信頼感の根強さを浮き彫りにした。
中国市場では、最大の勢力である中国メーカ
ー系とブランド力を持つ日米欧勢のはざまで、
現代自は何を強みに勝負をするのか。
製品の価格優位が低下する中、売上アップを
狙った販売奨励金頼みの戦術では、成長は望め
ない。
生産性向上のため従業員を締め上げるのか、
あるいは脱韓国を進めるのか、他国メーカーを
凌ぐ画期的な低燃費車を開発するのか、どれも
ただならぬ困難を伴うのは確かだ。
いやー、労働組合には、頑張ってほしいもの
ですね。
現代の競争力が、落ちるのは、日本の自動車
関連企業に勤める私にとっては、有り難い話
です。
できれば、倒産させる位の勢いで、労働組合
は、闘争を繰り広げてほしいものです。
韓国の基幹産業は、サムスンの電子産業の
様なんで、自動車メーカーが、潰れた所で、
どうと言う事も無いでしょう。
【経済裏読み】
韓国経済崖っぷちでもスト断行の「KY」か…労働争議とウォン高に悩む韓国現代自、労組は「貴族」とさえいわれ…“蜜月”中国では日米欧に韓国勢は後塵を拝す
2014.9.18 07:00 産経新聞

車載カメラが取り付けられた現代自のセダン
「グレンジャー」。顧客獲得にさまざまな技術を
取り入れようとしている(ロイター)
韓国の自動車メーカー5社の8月の世界販売
台数が前年同月実績を割り込んだ。
筆頭メーカーである現代(ヒュンダイ)自動
車は前年同月比5・9%減の35万台。
国内販売台数は11カ月ぶりに、5万台を切
った。
販売不振の背景にあるのは、韓国で恒常化し
ている労使の対立劇にある。
聯合ニュースによると夏季休暇と労組の時限
ストライキで生産と供給に支障をきたし、ほと
んどの車種の販売が減少した。
景気が長期低迷入りの崖っぷちにあっても、
ストを断行できるお国柄に、グローバル企業が
抱える悩みは深い。
■14.4兆ウォン(1.4兆円)超…
もの巨額“損失”
9月1日に発表された現代、起亜、韓国GM、
双竜、ルノーサムスンの5社の8月の韓国内を
含む世界販売台数は、前年同月比で7・3%減
の63万8000台にとどまった。
聯合ニュースなど現地メディアが報じた。
国内販売は前年同月比3・9%減、輸出は
8・0%減といずれもマイナスで、
「8月の休みシーズンや労組の時限ストの影響
で、内需と輸出で両方が振るわなかった」
(自動車業界関係者)ためとみられている。
韓国経済の屋台骨を支える自動車業界だけに、
ストは経済活動に陰を落とす。
現代自動車労組は賃金交渉で、前年純利益の
30%の成果給支給、基本給引き上げ、定年の
追加延長、解雇者の復職などを要求していたと
いう。
年次賃金交渉の決裂を受けて現代自動車労組
が22日に突入したストで、損失は400億
ウォンにのぼるとの試算を東亜日報(電子版)
は伝えた。
さらに中央日報(電子版)によると、現代
自労組が8月28日に行ったストは前週末の
4時間から12時間に増やされ、正規勤務
17時間中、工場稼働は5時間のみ。
これに伴う支障は、1100億ウォンにも
なる。
現代自では労組設立以来、27年間のうちで
4年間以外は毎年ストが行われ、すでに総額
14兆4000億ウォン相当の生産に影響が出
ているとロイター通信は報じている。
現代自の社員の平均年収(生産職)は1億
ウォン(2012年)を超え、韓国トップ
クラスにある。
■ストで支障は「韓国」と「南アフリカ」
だけ?
日本では、消費税増税前の駆け込み購入の
反動減で自動車販売が減速しているが、労働
争議の影響が自動車の販売統計にまであらわれ
るような事態はここ30年はない。
韓国ではストライキは日本で考えられない
ほど、たやすく実施され、またそれが慣例化し
ているのだ。
「“貴族労組”“彼らだけのリーグ”という
周辺の冷笑と非難を受けている」
中央日報は、現代自の尹甲漢社長は、毎年の
労使紛争にこう苦言を呈し、談話を通じて、
「いつまで最大成果(報酬)ばかり要求し、
社会的批判を自ら招くのか」とのコメントを出
したと報じた。
毎日経済新聞(電子版)も世界的な新車需要
拡大で、主要メーカーが工場をフル稼働する中、
「韓国と南アフリカ共和国のみ労組ストによる
生産支障で疲弊している」と指摘。
自動車メーカーが、海外に生産のウエイトを
移す“脱韓国”の動きを加速させる一因になっ
ているとの見方は強い。
2008年に現代自の海外生産比率は約40
%だったが、昨年は約60%にまで上昇。
証券アナリストの意見を引用して中央日報は、
「慢性的ストが海外基地建設の口実を作り、
生産構造を変えた」と報じた。
■大企業に集中する「富」、ストに理解も
とはいえストが、韓国内で一定の理解を得ら
れてきたのも事実だ。
その背景には、財閥系など一部大企業への富
の偏在に対する不満がある。
ハンギョレ新聞(電子版)が報じた国会の
報告書
「韓国の家計・企業所得現況及び国際比較」に
よれば、1995年から2012年までの18
年間で、国民総所得(GNI)に家計部門所得
が占める比率は70・6%から62・3%と
8・8ポイント下落。
一方で企業所得の比率は6・6ポイント上昇
し、23・3%にまで高まった。
原因としては、自営業者の没落のほか、
2000年代に入って急増した家計負債(借金)
による所得低下があげられている。
韓国では、李明博前政権時代の2008年に
法人税を25%から22%に軽減されたが、
それの恩恵は企業にとどまり韓国内に還流して
いないとの見方も強い。
現代自動車は、サムスン電子と並ぶ韓国経済
のリード役だが、その半面、批判の的にさらさ
れやすい宿命にある。
■「蜜月中国」でもシェアは「中欧日米」の
次
現代自の先行きにとって、足元での最大の
課題はウォン高への対策だ。
聯合ニュースによると、現代自グループ傘下
の自動車産業研究所の報告では、ドル=ウォン
の為替相場が1ドルあたり10ウォン高になれ
ば、韓国自動車産業の売上高は4200億ウォ
ン減るとの試算がある。
報告書は、円安で勢いづく日本メーカーと
生産力の高いドイツメーカーの攻勢が続く中、
韓国メーカーの競争力低下を懸念。
技術開発と新市場の開拓を提言した。
だが、実現はそうたやすくはない。
朴槿恵政権との蜜月ぶりが際立つ中国は、
世界最大の自動車市場に成長している。
ここでの2013年の韓国車のシェアは
2・3ポイント上昇し8・8%に高まったが、
欧州メーカー(22%)、米国メーカー
(12%)に比べてなお差が大きい。
尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖での中国漁船に
よる不法侵入で日中関係は冷え込んでいたが、
実はそれでも日本勢のシェアは16%を確保。
日本車への信頼感の根強さを浮き彫りにした。
中国市場では、最大の勢力である中国メーカ
ー系とブランド力を持つ日米欧勢のはざまで、
現代自は何を強みに勝負をするのか。
製品の価格優位が低下する中、売上アップを
狙った販売奨励金頼みの戦術では、成長は望め
ない。
生産性向上のため従業員を締め上げるのか、
あるいは脱韓国を進めるのか、他国メーカーを
凌ぐ画期的な低燃費車を開発するのか、どれも
ただならぬ困難を伴うのは確かだ。
いやー、労働組合には、頑張ってほしいもの
ですね。
現代の競争力が、落ちるのは、日本の自動車
関連企業に勤める私にとっては、有り難い話
です。
できれば、倒産させる位の勢いで、労働組合
は、闘争を繰り広げてほしいものです。
韓国の基幹産業は、サムスンの電子産業の
様なんで、自動車メーカーが、潰れた所で、
どうと言う事も無いでしょう。