http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/140916/waf14091607000001-n1.htm
【関西の議論】
「代用監獄」批判より快適さ重視、夏は警察留置場に喜ぶ理由…冷房100%完備「留置場」と9割未設置「拘置所」の“差”
2014.9.16 07:00 産経新聞
「代用監獄」として批判の的にさらされる警察の留置場。
しかし、夏場には拘置所よりも好まれる傾向があるという。
それは、全国の警察留置場は冷房が100%完備されて
いるからだ
記録的豪雨の影響もあって、平年に比べ猛暑日
の少なかった今年の夏。
それでも蒸し暑い毎日が続く中、法務省が所管
する拘置所・拘置支所に収容される大半の容疑者
や被告は、冷房の一切効かない部屋で過ごす。
全国111カ所の9割近くで、居室エリアに
冷房が設置されていないためだ。
一方、全国の警察にある留置場では、空調設備
を100%完備している。
警察の留置場は「代用監獄」と呼ばれ、取り調
べと処遇の両方を警察が担当することから
「冤罪(えんざい)につながる」とも批判される
が、収容者からは
「留置場は涼しくて快適。暑い拘置所には行きた
くない」との声も上がっている。
(時吉達也)
■接見で愚痴、気弱に
座布団にぐっしょりとしみこんだ汗。
夕方の規定時間まで、ぬれタオルで体を拭く
「拭身(しきしん)」は許されず、クーラーの効
いた部屋に入室できるのは、病気が認められた
ときだけだ。
大阪拘置所(大阪市都島区)に勾留されている
被告の弁護人を務める弁護士は
「夏は被告も気弱になりがちで、接見に行っても
暑さへの愚痴をたくさん聞かされる」と明かす。
法務省によると、全国に111ある拘置所・
支所のうち、居室エリアに冷房が設置されている
のは東京、立川、名古屋の各拘置所など13カ所
のみ。
近畿2府4県を管轄する大阪矯正管区内の15
拘置所・支所では、改築工事中の大阪拘置所で
来年以降に導入される見通しとなっているが、
残りの施設では今後の導入予定がまったく具体化
していない状態だ。
一方、警察の留置場では
「逃亡や罪証隠滅を防止するために必要な制約は
あるが、良好な生活環境となるように常に施設
・設備の改善、整備に努めている」(警察庁)
との姿勢で、各都道府県警はすべての留置場で
空調機器を整備。
大阪府警施設課の担当者は
「一日中施設内で過ごす容疑者らの体調管理に
配慮し、季節の変わり目などは留置場のみ冷房を
入れることもある」という気の使いようだ。
■批判の的「代用監獄」
そもそも、なぜ同じように身柄を拘束された
容疑者・被告の収容先が、拘置所と留置場に分か
れるのか。
逮捕・送検から判決確定まで勾留される未決
拘禁者は、法務省所管の拘置所に収容するのが
原則だ。
しかし、拘置所の不足や刑事手続きの利便性を
理由に、刑事収容施設法(旧監獄法)は警察の
留置場を代わりの収用先として認めると規定して
いる。
そのため、現実には検察の独自捜査事件の容疑
者や、警察の取り調べが終わった被告らは拘置所
に収容される一方、起訴前の容疑者や起訴後でも
取り調べが続く被告は、警察の留置場に収容され
る運用となっているのだ。
こうした「代用刑事施設(代用監獄)」制度が
警察による長時間の取り調べを可能にしていると
して、日本弁護士連合会(日弁連)は
「虚偽の自白の強要につながり、冤罪を生む」と
批判し、制度廃止を要求し続けている。
全国の警察では昭和55年以降、批判を受けて
捜査担当と留置場管理の部署を分離したが、拘置
所と留置場の違いについて語られる際には、こう
した留置場の問題点がクローズアップされてきた。
■「予算が下りない」
両者の住環境は、当初から“格差”があった
わけではない。
法務省関係者は
「一昔前はエアコンはぜいたく品で、留置場も
拘置所もエアコンなんてないのが当然だった。
一般の家庭にも存在しない以上、罪を犯した疑い
が強い容疑者・被告の勾留施設に設置するのは
現実的でなかった」と振り返る。
平均気温の上昇に伴う熱中症患者の増加が社会
問題となり、刑事拘禁者の人権に配慮を求める声
が高まる中、警察の留置場については改善が進ん
でいった。
一方、法務省は今後、拘置所の冷房についても
「建物の構造上、室外機などが設置できない事情
もあるが、老朽化した施設の建て替えに伴い、
順次導入していく」(同省矯正局)という方針だ。
ただ、大半の拘置所では建て替えが進まず、
冷房の具体的な導入時期も決まっていない。
前出の同省関係者は
「容疑者の処遇が地域の治安にも直結する警察と
異なり、ただ単に『収容者の人権保障』を訴える
だけでは、なかなか予算が下りない」
と本音を漏らす。
■刑務所では死者も
もちろん、拘置所の現場では、職員が収容者の
体調に気を配り、熱中症予防に努めているという。
ある拘置所の担当者は
「配食で冷凍みかんを出したり、1日2回お茶を
配ったり、できる限りのことをしている。医療
体制も整備され、『塀の外』にいるより、体調面
では安心して過ごせる環境だと自負している」
と強調する。
しかし、拘置所と同様に冷房の整備が進んで
いない刑務所では、受刑者が熱中症で倒れる事案
が頻発。大阪刑務所(堺市)では平成19
(2007)年と22年に熱中症による死者まで
出ており、拘置所の処遇改善も喫緊の課題となっ
ている。
NPO法人「監獄人権センター」代表で日弁連
刑事拘禁制度改革実現本部・本部長代行の
海渡雄一弁護士(第二東京弁護士会)は
「これまでにも住環境を改善することで、収容者
間のトラブルが大きく減少したケースが報告され
ている」と指摘。
「本来の収容先である拘置所が、代用監獄より
生活環境が悪いというのはおかしな話。改善を求
めていかなければいけない」と話している。
こうやって、読んでみると、留置場って、天国な
んですね。
しかし、長くいられる場所では無いと言うのが、
罪を犯した人には、残念ですね。
いずれ、刑務所の入る可能性が、高いですから。
昨今の殺人的暑さは、冷房無しで耐えるのは、
限界が有ります。
刑務所生活も命がけとはねー。
健康的な生活を送れる様に思っていたのですが。
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「代用監獄」批判より快適さ重視、夏は警察留置場に喜ぶ理由…
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