http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140427/its14042707000001-n1.htm
【ドラマ 企業攻防】
「ニフティ おまえもか」切り売りされるプロバイダーの“黄昏”
2014.4.27 07:00 産経新聞
ビッグローブを売却したNECの遠藤信博社長(左)
と、ニフティ売却を検討する富士通の山本正已社長
(左)。メーカー系プロバイダーは大きな転換期を
迎えた
(コラージュ)
大手電機メーカー傘下のインターネット接続事業者
(プロバイダー)が、業績改善に向けた“切り売り”
の対象となっている。
NECが3月末にビッグローブを売却した。
さらに富士通も子会社のニフティの売却を検討して
いる。
かつて家電大手の系列プロバイダーは、親会社が生産
するパソコンの普及を後押しする存在だったが、国内
メーカーのパソコン事業が低迷し、戦略転換を迫られた。
パソコン通信の黎明期(れいめいき)を支えたメーカ
ー系プロバイダーは、黄昏を迎えている。
■親会社の都合
「黒字を続けて親会社に貢献してきたのに、あっさり切
られるなんて…」
ビッグローブのある幹部は憤りを隠さない。NECは
安定した収益を得られる法人向けビジネスに事業の軸足
を転換した。
個人向けサービスが中心のビッグローブとは事業の
相乗効果が得にくくなり、日本産業パートナーズ
(JIP)への売却を決めた。
家電大手が系列プロバイダーを売却するのは、市場
環境の変化が大きく影響している。
家庭用パソコンの普及期において、パソコン通信や
インターネットなどのサービスを提供するプロバイダー
は、親会社のパソコン販売に貢献する相乗効果を生んだ。
しかしその後、国内メーカーのパソコン事業は中国や
台湾勢の台頭で、撤退や縮小を余儀なくされた。
現在はタブレット端末の普及でパソコンの出荷台数も
減少傾向にある。
NTTグループやソフトバンクなど、通信大手の系列
プロバイダーがシェアを拡大する中で、メーカー系プロ
バイダーは親会社の事業との相乗効果が得られなくなっ
ていった。
■「売り時」判断
こうした動きはNECだけではない。
富士通は、10年以上前から懸案事項だったニフティ
の売却について、今年初めから本格的な検討を始めた。
長年、懸案のまま棚上げされてきたのは、ネット事業
に強いこだわりを持ち、社内で絶大な権力を持つ
秋草直之相談役が、売却に強く反対したためだとされる。
平成21年にはニフティの売却話を進めた野副州旦
(くにあき)元社長が、突如解任される騒動もあった。
この騒動以後、封印されていた売却話が本格化した
背景には、秋草相談役の経営関与が薄れたことに加え、
「ビッグローブ売却の影響が大きい」(証券会社関係者)
という。
JIPへのビッグローブ譲渡により、NECは700
億円程度の売却益を得たとされる。
一般的にプロバイダーの売却価格は、現在の契約者数
に1万円を掛けた額が相場だが、契約者数約300万人
のビッグローブは相場の2倍近い破格値がついた。
ニフティに買収を提案したのがJIPだけに、富士通
側も高値での売却に期待が高まっているという。
■業績悪化で切り売り
「次は自分たちが売却されるのではないか」
26年3月期決算が2年ぶりの最終赤字転落となる
ソニー。
子会社のソネット社員からは、こんな不安の声が漏れ
る。
ソニーは2月の業績修正とともに、パソコン事業の
売却やテレビ事業の分社化など構造改革を発表し、その
後も旧本社ビルや保有株式の売却など資産の切り売りを
進めた。
そのキーマンが、昨年12月にソニー本社に復帰し、
今年4月にソニーの最高財務責任者(CFO)に就任し
たソネット前社長の吉田憲一郎氏だ。
吉田氏がソネット社長だった昨年1月に、ソニーは
ソネットを完全子会社化した。
その後、ソニーはソネットが保有していたソーシャル
ゲーム大手ディー・エヌ・エー(DeNA)や医療情報
会社エムスリーの株式を売却。
両社の株式売却で、600億円近い売却益を得たと
みられる。
人気ブランド「バイオ」を擁するソニーのパソコン
事業売却も吉田氏が手がけた。
売却先はビッグローブと同じJIPだ。
それだけに業界内では「次の売り物はソネット」との
声が高まっている。
ただ、親会社の意向やしがらみに振り回されるよりも、
売却先の支援を得て、新規事業や経営再編を進めたほうが
企業価値が高まるとの見方もある。
JIPに売却されたビッグローブも3~5年後の上場、
独立を目指す。
同社の古関義幸社長は、こう打ち明けた。
「これでスピードを生かした経営ができる」
(黄金崎元)
何とも皮肉な話です。
親会社から、切り離された方が、経営のスピードアップ
が、図れるなんて。
でも、確かに独立採算が、見込まれるのなら、親会社に
しがみつく事も無いですものね。
また、親会社も身軽になれるのですから、一石二鳥の案
です。
ITが、もてはやされた頃が、懐かしいですね。
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