http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/140214/waf14021407000000-n1.htm
【衝撃事件の核心】
祖母は壊れた、夫との不仲と長男の暴力、離婚求めて火をつけた…
娘と孫を死なせた軽はずみな放火、遅すぎた「悔恨」と「浅慮」
2014.2.14 07:00 産経新聞
炎を上げて燃える依田被告の自宅
昨年5月、滋賀県湖南市吉永
「部屋の一部でも燃えれば、夫が離婚に応じてくれる
と思った」-。
自宅を全焼させ、自分の娘と孫を死亡させる悲惨な
火災を引き起こした女の動機は、あまりにも浅はか
だった。
滋賀県湖南市で平成24年5月、住宅1棟が全焼し、
中高生の姉妹と母親の計3人が死亡した火災で、
現住建造物等放火罪に問われた祖母の依田好子被告
(67)に対し、大津地裁は1月29日、懲役8年
(求刑懲役10年)の判決を言い渡した。
公判で「娘や孫を助けるべきだった」と後悔の言葉
を涙ながらに繰り返した依田被告だったが、
“軽はずみ”な放火が取り返しのつかない事態を招い
た。
■「近所づきあいのいい普通の奥さん」がやがて…
判決などによると、依田被告は24年5月28日
午前4時ごろ、自宅1階の居間で、じゅうたんの上に
新聞紙を置いてライターで火をつけ、木造2階建て
住宅1棟約120平方メートルを全焼させた。
この火災で、依田被告の長女の太田奈弓さん=当時
(43)、奈弓さんの長女で県立高校2年の玲菜
(れいな)さん=同(16)、次女で市立中2年の
郁乃(あやの)さん=同(13)=が焼死した。
公判では、家族の証言などから依田被告の生い立ち
や犯行に至った経緯が明かされた。
依田被告は山形県出身で、中学を卒業後、地元で
バスガイドとして働いていた。
昭和41年に夫と結婚した後、夫の転勤に伴って
滋賀県に移り住み、やがて湖南市内に自宅を構えた。
自宅購入当時、依田被告は夫や子供たちと仲むつま
じく暮らす「普通の奥さん」だった。近所の人たち
からは、「近所づきあいがいい」「面倒見がいい」
などと好印象を持たれていた。
しかしその後、「家庭の問題」でストレスが重なり、
人柄が変わっていった。
■夫との不仲、長男の家庭内暴力がストレスに
問題の一つは、夫との仲だった。結婚して約10年
が過ぎたころ、単身赴任先の台湾から一時帰国した夫
が、炊飯器などの電化製品を幾つも買っていたのを見
て、「向こうで不倫をしているのかも」と不安を抱い
たという。
夫は
「日本の電化製品は性能がいいからほしいと、知人に
頼まれて買った」
と説明したが、依田被告は一方的に疑念を膨らませた。
さらに、夫がさまざまな場面で気遣いをみせてくれ
ないとの不満も募り、やがて「離婚したい」と思う
ようになった。
もう一つの問題は、長男の存在だった。
被告人質問での陳述によると、依田被告は長男の
家庭内暴力に悩まされていた。
長男は仕事に就いても長続きせず、次の仕事が見つ
からない間はイライラして家族に暴力を振るい、家具
を壊したりガラスを割ったり手がつけられない状態だ
ったという。
夫が帰国した時は、長男の暴力は一時的に収まるが、
夫が台湾に戻ると、再び暴力を振るった。
さらに、長男が平成22年1月に窃盗事件を起こし
て逮捕されると、依田被告の心労は一段と増した。
長男の逮捕が新聞で報道されると、依田被告は
「世間体が悪い」と、周りの目を気にしてほとんど外
へ出なくなった。
その後、長男は別の事件を起こし、有罪判決を受け
て刑務所で服役した。
依田被告は、長男が出所するまでに家を出ようと
決意。
「自宅を売却し、そのお金を夫と分ければ、離婚して
も生活できる」
と考え、夫に離婚と自宅の売却を持ちかけるように
なった。
しかし、夫はこの申し出に応じることはなかった。
それ以後、依田被告は精神状態が不安定になり、
奇異な行動が目立つようになっったという。
■「何としても離婚を」
あるとき、依田被告はささいなことから近隣の住民
とトラブルになり、夫に対処を求めたが、夫がこれに
こたえなかったため腹を立て、夫を背後から突き倒し、
顔面から血を流すけがを負わせた。
また、夜になるとパジャマ姿でスナックに出かけ、
面識のない人に声をかけて回ることもあった。
犯行前日には昼過ぎから友人とバーベキューに出か
けた。
夜はスナックで酒を飲み、その帰りに1人で夜道を
歩いていた際、「痴漢に遭った」として近くの交番に
駆け込んだ。
そして、パトカーで自宅まで送り届けられた。
「さすがに今回は夫も気遣ってくれるだろう」。
依田被告はそう思って家に入ったが、出迎えてくれ
たのは娘だけだった。
このことで「夫とは何としても離婚したい」との思
いが“発火点”に達し、
「部屋の一部でも燃やせば、応じてくれるだろう」
と考え、実行に移したという。
■判決をかみしめるかのようにうなずく被告
逮捕後に行われた精神鑑定の結果によると、依田
被告は犯行時、ストレスが重なったことによる
「適応障害」と「急性ストレス反応」の状態だったと
された。
公判で、弁護側は
「正常な心理状態ではなく、判断能力が低下していた」
と主張していた。
しかし、裁判官と裁判員は
「仮に依田被告の心理状態が正常でなかったとしても、
犯行は感情を直接行動に結びつけようとする性格に
起因するところが大きい」
とし、弁護側の主張を退けた。
「私には重い罪を与えてください」
公判の中でそう語った依田被告。判決を言い渡され
たあと、飯島健太郎裁判長に
「長い服役になります。しっかり償ってください」
と諭されると、判決をかみしめるかのようにゆっくり
とうなずいた。
「なぜ、悩みを相談しなかったのでしょう。誰かに
相談していれば、そこまで思い詰めることはなかった
かも」。
裁判員を務めた女性(60)は、閉廷後の記者会見
でそう語った。
また、補充裁判員として審理に同席した男性(48)
は
「亡くなった3人のことを思い続けて毎日手を合わせ
てほしい」と訴えた。
古い記事ですが、熟年離婚が増えてる今、ちょいと、
気になる記事でした。
正直、犯人の年齢を考えると、他の人に相談しても、
離婚と言う言葉を、現実的に受け入れる知人は、居た
でしょうか?
話して、スッキリするのなら、それで良いのでしょう
が。多分、それは、初めの頃位でしょう。
しかし、被告人くらい、溜まってしまうと、もう、
話した位では、とても、発散出来る状態では無かった
事でしょう。
結局、放火は、止められたにしても、他の犯罪に走っ
た可能性は、高いでしょう。
彼女自身のストレス、そして、長らく溜まっていた
鬱積は、消えたかも知れませんが、代わって、恐ろし
い悔恨が、彼女を襲う結果となってしまいました。
女性の平均寿命は長いです。
今後、命が尽きるまで、悔恨の毎日を送る事になるの
でしょう。
不満は、鬱積する前に、誰かに相談するのが、一番で
すね。
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とっても古い記事ですが。祖母は壊れた、夫との不仲と長男の暴力、離婚求めて火をつけた…
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