http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130813/crm13081318000007-n1.htm
【疑惑の濁流】
またも特捜部VS無罪請負人
逮捕の東大教授が頼った“カミソリ弘中”
2013.8.13 18:00 産経新聞
医療にITを融合させる画期的な研究は錬金術だ
ったのか-。大学から研究費をだまし取ったとして、
東大政策ビジョン研究センター教授、秋山昌範容疑
者(55)が東京地検特捜部に逮捕された。
秋山容疑者は容疑を否認し、著名事件で無罪を勝
ち取った弘中惇一郎弁護士(67)に弁護を依頼、
徹底抗戦の構えを見せる。
またも攻防の幕が切って落とされた特捜部VS
「無罪請負人」。日本の知の最高峰を舞台にした
“全面対決”の行方が注目される。
■数々の無罪獲得…「詐欺には当たらない」
「捜査は始まったばかりだが、(逮捕)報道を見て
実態とかけ離れていると思ったので説明する。なぜ
詐欺として立件されるのか理解できない」
逮捕翌日の7月26日午前。
起訴前という異例のタイミングで記者会見を開い
た弘中氏は、
「私的流用、架空請求は一切ない」
と語気を強めた。
「いただいた補助金はもともと予定していた研究費
に使い成果も上げている。詐欺には当たらない」
と、記者らの質問に言葉を選びながら、特捜部が描
く事件の構図を真っ向から否定した。
「無罪請負人」「カミソリ弘中」。
これらは、検察側の証拠や構図の矛盾点を突く
手法に定評がある弘中氏の異名だ。
過去にロス疑惑銃撃事件の三浦和義・元会社社長
や薬害エイズ事件の安部英・元帝京大副学長の無罪
判決を勝ち取った。
最近では、郵便不正事件で厚生労働省の村木厚子
事務次官(57)、資金管理団体「陸山会」をめぐ
る事件では小沢一郎・生活の党代表(71)を無罪
に導いた。
秋山容疑者が弘中氏に弁護を依頼したのは5月。
特捜部が東大を家宅捜索した後だった。
秋山容疑者は迫る捜査への対抗策として、
「無罪請負人」の手を借りたもようだ。
■補助金は公金、「悪質性高い」
今回の事件で検察側が着目したのは、秋山容疑者
が東大や、共同研究を行っていた岡山大に請求した
研究費だった。
調べによると、秋山容疑者は平成22年2月~
23年9月、データベース作成業務などをIT関連
業者など6社に発注したように装って、東大から
約1890万円、岡山大から約290万円を不正に
引き出した疑いが持たれている。
研究費用はすべて厚生労働省などから支出され
た公金。
「いわば税金をだまし取った格好で、悪質性が高
いと判断した」(捜査関係者)。
捜査関係者によると、6社は秋山容疑者の親族が
取締役を務める医療コンサルティング会社に業務
を再委託した形を取っており、最終的に研究費は
親族会社の口座に振り込まれていた。
この資金の流れを特捜部は「私的流用」と認定。
「実体のない研究費を請求した後、6社をトンネル
にする形で、補助金を親族企業に流して運転資金に
充てた」との構図を描いた。
こうした検察側の見立てについて、弘中氏は補助
金を親族企業が受け取っていたことは認めた上で、
「実際に一番仕事をしたのはシステムやソフト開発
など特殊なノウハウがあった親族会社。事業は架空
ではなく実態はあった。詐欺には当たらない」
と真っ向から否定する。
特捜部は、勾留期限の14日に秋山容疑者を起訴
する方針で、両者の対決の場は法廷に移る見通しだ。
気鋭の第一人者…「ビジネスマン」の側面も
秋山容疑者は医療にITを融合させる研究の第一
人者として知られ、知人の大学関係者は
「人を引き付ける新しい研究ビジョンを示し、学会
でも発言力があった」と話す。
一方、「医者というよりはビジネスマン」
(医療関係者)との評もあった。
昭和58年に徳島大学医学部を卒業し、複数の
病院で経験を積んだ秋山容疑者は国立国際医療セン
ター(東京都新宿区)で、医療の効率化を図る電子
カルテのシステム開発に取り組み、特許を取得した。
当時を知る知人は、
「仕事に妥協せず、非常に熱心。場当たり的ではな
く、頭の中でシステムの完成図を完全に描いていた。
仮に有罪が認定され、彼が表舞台から去ることに
なると、医療情報分野の損失だ」と断じる。
一方で、周囲に対する高圧的な態度も目立ったと
いう証言もある。
医療関係者は
「彼の元に医療情報分野の研究者が集まったが、
研究室では怒鳴り声が響いていた。思ったことを
ズバズバ言う姿勢に嫌気が差して、結局1人も残ら
なかった」と指摘。
共同開発を担当した業者からは
「(秋山容疑者から)仕事を受けたくない」
との憤りの声も上がった。
開発した医療情報システムなどを医療現場に導入
しようと試みた秋山容疑者だったが、思うようには
普及しなかったようだ。
秋山容疑者が仕様にこだわるあまり、納期に間に
合わず、契約解除になったこともあったという。
■次々とあぶりだされる「研究者の不正」
近年、研究費をめぐる不正が相次いで発覚して
いる。
特捜部は昨年7月、収賄容疑で、京都大学大学院
薬学研究科元教授、辻本豪三被告(60)=公判中
=を逮捕。
物品納入に便宜を図った謝礼と知りながら、19
~21年、飲食代金や海外旅行の費用計約643万
円を贈賄側の業者に負担させたとされる。
検察側の冒頭陳述などによると、辻本被告は国
から受け取った研究費などを、架空の取引名目で
業者に管理させていたという。
また、北里大を運営する北里研究所(東京)は
7月26日、文部科学省の研究費補助金の不正受給
が新たに判明したとして、国に約8790万円を
返還すると発表した。
不正には医学部の元教授(53)が関与したと
される。
教育関係者は
「研究費はそもそも『学術のためにまともに使われ
る』という性善説に基づいており、チェックの目が
行き届いていない面がある」
とした上で、
「秋山容疑者は医師の資格もあり、日本の知の最高
峰である東京大学の教授。ここでも不正があったと
なると、問題は根深い。研究費のあり方が根底から
見直されなくてはならない事態となる」
と、捜査の行方に注目している。
この記事だけ読むと、確かに、疑いは、濃くなりま
すね。
しかし、裁判は、提出だれた証拠に基づき、量刑を
決める場ですから、疑いは、疑いで有って、必ずし
も有罪とは成りません。
それ故、いかに優秀な弁護士に依頼するか?それが
有罪、無罪の分かれ目になるのでしょう。
検察も手ごわい相手が、弁護に付いた。と、力が、
入ってる事でしょう。
果たして、弘中さん、どの様な弁護をするのでしょ
う。
村木さんの裁判では、検察側の証拠の改ざんを指摘
され、特捜のエースや上司まで、逮捕されただけに、
検察も威信を掛けて臨んでくるでしょう。
↧
またも特捜部VS無罪請負人。逮捕の東大教授が頼った“カミソリ弘中”。
↧