http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/130714/waf13071418010019-n1.htm
【衝撃事件の核心】
元特捜部長は「逆転無罪」を勝ちとれるか…
「不祥事捜査は上司の判断」と新主張は高裁に届くか
2013.7.14 18:00 産経新聞
大阪高裁での控訴審初公判に向かう
大阪地検元特捜部長の大坪弘道被告
(中央)と弁護団。「検察史上最大の不祥事」
で逆転無罪を狙う
大阪市北区
「検察VS検察」が再び幕を開けた。
大阪地検特捜部の押収資料改竄(かいざん)
・犯人隠避事件は6月17日、大阪高裁で
控訴審初公判が開かれ、元特捜部長、
大坪弘道(60)と元副部長、佐賀元明
(52)の両被告は改めて無罪を主張した。
控訴審は初公判と判決を含めて3回しか開か
れず、審理も被告人質問だけの予定。
限られた機会に熱が入ったのか、大坪被告は
約1時間に及んだ被告人質問で
「過失との報告は納得できた」
「罪にならない事実で逮捕された」
と身ぶり手ぶりで主張を展開した。「
検察史上最大の不祥事」ともいわれた事件。
弁護側は新たに
「不祥事は内々で処理しようとする検察組織の
問題もある」
との主張も追加し、逆転無罪を狙う。
控訴審第2回公判は7月17日に開かれる。
■「大坪よ、協力してくれ」
「元検察官です。私の一つのこだわりです」。
裁判長から職業を問われ、しっかりとした
口調で答えた大坪被告。
控訴審は冒頭から熱気を帯びていた。
はじめに、改めて事件を振り返る。
平成21年5月、障害者団体向け割引郵便
制度の証明書を偽造したとして、
大阪地検特捜部が厚生労働省の係長(当時)
を逮捕し、自宅からフロッピーディスク
(FD)を押収した。
その後、このFDのデータなどを元に、
偽造を指示したとして、当時厚労省局長だっ
た
村木厚子厚労事務次官を逮捕した。
しかし、捜査の主任検事だった前田恒彦元
検事(45)が検察側の見立てに合致する
ようにFDのデータを改竄していたことが
発覚。
村木氏は無罪が確定し、前田元検事は逮捕
され、有罪が確定した。
大坪、佐賀被告の事件は、ここからだ。
「大坪よ。調査に協力してくれんか。ここま
で来ては、最高検も後ろに引けない」
被告人質問によると、
大坪被告は22年9月23日に最高検へ出頭
したが、この際、捜査担当になった当時の
公判部長はこう語りかけたという。
そして同年10月1日夜、大阪高検庁舎内
で犯人隠避容疑で逮捕された。
1審大阪地裁判決によると、前田元検事が
電話で佐賀被告に故意の改竄を告白。
佐賀被告は大坪被告に報告したが、両被告
は過失でデータが書き換わったと上司に報告
し、もみ消したとされる。
両被告は懲役1年6月、執行猶予3年の
有罪判決を受けた。
■「捜査せず」は不作為か
控訴審では、改めて前田元検事や、前田元
検事から改竄を告白されたという別の検事を
証人申請することも考えられたが、弁護側は
見送った。
「1審での証言を覆すのは難しいのではない
か。裁判所が採用しないかもしれない」
との考えがあったものとみられる。
結果として、被告人質問だけが行われる
こととなったが、焦点は両被告が
「前田元検事が故意に改竄したという認識が
あったのか」
「故意と知りながら捜査しなかったのか」
の2点だ。
弁護側ははじめに、故意の認識について
質問。
弁護側は、前田元検事からの報告は
「誤って書き換えた」
との内容だった、という主張で、大坪被告も
「前田くん(元検事)は所有者へ原本のFD
を返していた。故意に改竄していたら原本
そのものを所有者に渡すのかと疑問に思い、
『過失』という説明は合理的に受け入れられ
た」と述べた。
もう1つの「捜査しなかったか否か」は
控訴審で新たにクローズアップされた焦点。
弁護側が
「不祥事が発覚した後の検察内部の決裁方法
は」
と尋ねると、大坪被告は
「内部調査で概要など可能な限り事案を把握
し、上司へ報告する。その上司の決定がなけ
れば、捜査はできない」と答えた。
弁護側は、検察の「内部調査」と「捜査」
の違いを強調し、捜査しなかった「不作為」
に当たらないとしたい考えだ。
大坪被告は「特捜部の現職検事の犯罪で
あれば、上司や上級庁に報告が上がり、
組織として捜査するか内部処分にするかを
決める。特捜部とは別の部署が捜査する
ため、特捜部長の独断で捜査することは
ない」と指摘。
さらに、公判部長が逮捕状を読み上げた
ときに
「不作為ですね。不作為で逮捕するのですね」
と尋ねると、
「えっ、大坪、不作為だけじゃ足らんか」
とやや動揺したようにも見えたことも明かし
た。
弁護側は、大坪被告が問われた
「捜査しなかった不作為」の背景には、
こうした検察組織の論理があると位置づけて
いるようだ。
■「義憤募る」徹底対決
控訴審から新たに弁護団に加わった元検事
の郷原信郎弁護士は
「今のままではダメだと検察側にわからせる
ために、今回の事件を担当した」とまで言い
切る。
事件では、特捜部の見立てたストーリー
ありきの捜査手法がやり玉にあげられた。
特捜部の解体などもささやかれ、法務省は
平成22年11月、外部有識者15人による
「検察の在り方検討会議」を設置。23年
3月には「検察の再生に向けて」と題した
提言をまとめた。
これを受けて、最高検は23年4月、
「検察改革推進室」を設置。
同年7月には組織マネジメントなどを検証
する専門委員会を作った。
特捜部は同5月から、捜査方法を審査する
「統括審査検察官」も創設した。
しかし、こうした取り組みは検察官や検察
事務官ら内部職員で構成されるものが多く、
外部有識者は
「勉強会で参加してもらっている」(最高検)
状況だという。
大坪被告は
「確たる証拠もないまま組織防衛のために、
やみくもにわれわれを逮捕した最高検へ義憤が
込み上がるのを禁じ得ない」
とし、郷原弁護士は
「内部のことは内部で片付けるという検察の狭
く甘い考え方が根本にある。それを変えねば
抜本的な組織改革にはならない」と批判する。
閉廷後の記者会見で大坪被告は
「裁判長には前向きに聞いてもらえた」
と手応えを感じていたが、果たして高裁は弁護
側の主張をどう受け止めたのか。
次回公判では、元副部長の佐賀被告の被告人
質問が行われる。
面白い裁判ですね。
元特捜検察エースと現検察との争いですから。
見ものです。
証拠の改ざんを行えば、特捜の描いたシナリオ
通りに追い込めるのですから、楽だったでしょ
う。
無実の人間も罪に追い込めるのですから、笑い
が、止まらなかったでしょう。
そうした検察のやり口を良く知ってる者同士の
争いは、今後、どうなって行くのか?
実に面白い!
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元特捜部長は「逆転無罪」を勝ちとれるか…「不祥事捜査は上司の判断」と新主張は高裁に届くか
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